135/205
勇者狩り
「待て~~こら~~お仕置きしてやる!」
リトネは必死に追いかけるが、マッチョの体は人並みにしか走れず、どうしても馬にはおい付けない。
「……ふーんだ。ここまでおいで!」
「鬼さんこちら!」
時折立ち止まっては挑発する二人にいいように翻弄されていた。
しかし、実はリトネは内心では喜んでいた。
(二人とも成長したな!俺をここまで追い詰めるなんて!まあ、『召喚』で大きなトラックでもよんで頭の上から落とせば勝てるけど、模擬戦だし)
あえて自分の魔法を封印して、『雲亢竜拳』だけで戦うという余裕があった。
しかし、そんな余裕もすぐに吹き飛んでしまう。
いつのまにか、目の前に長い槍を掲げた歩兵の大群が迫っていたからである。
「坊ちゃま!覚悟!」
歩兵たちが槍衾を作って一気にリトネに迫る。
「くっ!『剛竜拳!』」
例によって硬い気の膜を張って、歩兵の槍に備える。
そのとき、歩兵が持っている布で覆っている槍の先端に突然火がついた。
「え?」
次の瞬間、炎のたいまつとなった長い槍が、いっせいにリトネを取り囲む。
「それ!どんどん突け!」
歩兵を指揮していたのは、火魔法の使い手トーラである。彼女が槍先に火を着けたのだった。
「あっちぃ!」
さすがのリトネも、全方向から火を押し付けられて悲鳴を上げる。
いくら『剛竜拳』で防いだとしても、完全な断熱は無理だからであった。
「くそっ!お前たち!『柔気装』」
あわてて穂先の火をやわらかい気で覆って消すが、火が消えた兵士は後ろに交代して、新しい兵士が出てくる。
「な?」
「坊ちゃん、あきらめて降伏するのです。もはや逃げられませんぞ!」
後方から全軍を指揮する将軍の声が聞こえてくる。いつのまにかリトネは兵士に十重二十重に囲まれていた。
「うりうり。さあ、早く降参しなせえ!」
「すげえ!俺たち勇者に勝っちまったぜ!」
周りを囲んでいる兵士たちは、嬉しそうに火がついた槍でリトネをつつきまくる。
「くっ……なんの!まだまだ!『柔気網』……え?」
自分を直接囲んでいる兵士を気の網で捕らえて戦闘不能にしても、すぐ次の長い槍を持った兵士に交代してリトネを突くので、どうしようもなかった。
そうしているうちに、どんどんリトネの気力が尽きて、体を囲むバリアーが薄くなってくる。
「あとちょっとだな……止めはあたいがしてやるぜ。旦那の初めて、いただき!」
最後にトーラが出てきて、特大の炎が燃え盛っている槍でリトネの尻を思いっきり突く。
「あっちい!!!!!!!!!」
リトネは尻を焼かれて飛び上がり、その拍子についに「気力」が尽きしまう。
「いまだ!」
兵士たちによって、あっさりと縛り上げられてしまうのだった。

+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。