挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
貴族のお坊ちゃんだけど、世界平和のために勇者のヒロインを奪います 作者:大沢 雅紀
128/205

運送業

一ヵ月後
「やった!前に進んでいる!」
「ええと……ギアをチェンジして入れ替えて、ブレーキを踏んで……」
何もない平原に、騎士たちの歓声が響き渡る。
中には適性がなくてどうしても覚えられない者もいたが、おおむね発進・旋回・停止・ギアチェンジなどは覚えることが出来た。
「では、次の段階に進みます」
タイヤで作った障害物をよけたり、十字路を曲がったりする訓練をする。
「つぎは坂道発進で……」
ここでエンストしたり後ろに下がったりする者が続出したが、リトネは根気よく教える。
「坂道を登って途中で停まり、ハンドブレーキをしっかり引いて。足のブレーキを離しても、後ろに下がらないから。よし、アクセルを踏んで、クラッチをつなぐ。エンジン音が下がったら、ハンドブレーキを戻そう」
助手席のリトネに教えられ、騎士は必死に学ぶ。時間はかかったが、ようやく感覚をつかむことができた。
「やったーーー!」
「俺、鉄の巨獣を乗りこなしている……」
すべての練習を終えて、自動車をマスターできた騎士たちは抱き合って涙ぐんでいる。
そんな彼らに、それぞれの顔の絵が書かれた薄いカードが配られる。
「お坊ちゃま、これは?」
「運転免許です。車を運転できる特殊技術を持った騎士という証明です」
自分の力を認めてもらえた証明書ということで、騎士たちは喜んだ。
「やったぜ!」
「我が軍の移動は、いずれ馬から車にシフトしていこうと思います。今回免許を手に入れた騎士は、出来なかった騎士に教えてやってください。時間はかかっても、いずれ全員が運転できるようになればいいと思っています」
リトネの言葉に新しい時代の訪れを感じて、騎士たちは奮い立つ。
「はっ!我々はこれからもリトネ様に忠誠を誓います!」
リトネたちの前に跪く騎士たちだった。

リトネは次に、トーラに声をかける。トーラの家臣は全員が脱落せずに免許を取得できていた。
「トーラたちもよくやったね。まさか全員合格とは思わなかった」
「へへん。砂漠の民をなめるなってんだ。あたいたちは馬の御者ができる者もおおいからな」
トーラは自慢そうに胸をそらすが、そんな彼女を見てリトルレットはニヤニヤしていた。
「ふーん。あんなに怖い怖いってないていたのに」
「う、うるさい。リトルレットの姐さんは黙っていてくれ」
強がるトーラに、リトネはやさしく告げる。
「なら、大丈夫だね。トーラたちアッシリア家には、『運送業』を任せたい」
リトネがそういうと、トーラは首をかしげた。
「運送業って?」
「要するにキャラバンのことだよ。ラクダとか馬車の代わりに、自動車を使って石油とか色々なモノを運んでほしい。これから自動車を何台か進呈するから」
リトネが指差すほうをみると、何台ものトラックがやってきた。
「姫御~」
「どうですか?この車は!かっこいいでしょ!」
やたらとどきつい絵がかかれているトラックに、ねじり鉢巻をしたひげ男たちが運転席から手をふる。
トーラの直臣たちだった。
いきなり何台も大型トラックがやってきて、トーラは驚く。
「お、お前たち、これは?」
「リトネ坊ちゃんが俺たちにくれたんでさぁ。格好良くなるように絵を描きました」
自慢そうに胸をそらす男たち。トラックの荷台には大きなドラゴンや、凶暴な魔物であるソードタイガーなどの絵がかかれて迫力満点だった。
それを見てトーラは歓声を上げる。
「か、かっこいい!お前ら!ずるいぞ!あたいのは?どこにあるんだ?」
きょろきょろと辺りを見渡して探すが、トーラのトラックはない。
「姫御はリトネ様のそばにいないとだめでしょ!」
「そうそう。一刻も早く子作りしてくだせえ!」
ひげもじゃの男たちはトーラを取り囲んではやし立てる。
「うっ……そうか……」
残念そうな顔になるトーラを、リトネは慰めた。
「ま、まあ子作りはともかく、運送業には情報も大事なんだ。だからトーラはエレメントにいて、家臣たちが各地から集めてくる情報を共有できるように管理してほしい」
「管理かぁ……あんまりあたいに向いてなさそうだが、それも姫の務めか」
トーラはしぶしぶとあきらめる。
「そうですぜ!金は俺たちがガンガン働いて稼ぎますから!姫御はドーンと構えていてくだせえ!」
「お館様とご家族がくるのが楽しみだぜ!びっくりして腰を抜かすんじゃねえか?」
楽しそうな顔になる男たちだった。
cont_access.php?citi_cont_id=875042061&s
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ