挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
貴族のお坊ちゃんだけど、世界平和のために勇者のヒロインを奪います 作者:大沢 雅紀
126/205

事業を始めよう

「それより、子作りを……」
「トーラ。これは大事な話なんだ」
リトネが真剣な顔になったので、トーラも迫るのをやめておとなしくなる。
「以前、シャイロック家は豊かになるように、先々代から苦労を続けていて、常に倹約し、無駄な金を使わず、人から嫌われても金貸しという仕事を続けて収入を確保し、金をため続けて来たっていったよね」
「ああ。正直あの言葉は堪えたぜ」
トーラはしゃんとなる。
「400年前なら、貴族は民を魔物から守って戦うだけで、民から税を徴収できて豊かな生活ができた。しかし、今の時代ではそれはもう通用しない。民からなりあがってきた商人たちが、貴族に代わって民を支配しようとしている。今はまだ『権威』というもので抑えておけるが、それはもう時代の流れとともに賞味期限切れになり、力を失っている。今の時代、商人たちがもつ『金』という力には対抗できない」
「……そうかもな」
領主である父でさえ、金を借りた商人には頭が上がらなかった現実を見ていたトーラは深く頷いた。
「このままでは、貴族という階級は力を失い、自然に没落していくだろう」
「そんな……それじゃ、どうすれば?」
シャイロック家という、いわば最大の貴族が自己否定するのを見て、トーラはどうすればいいかわからなくなった。
しかし、リトネはニヤリと笑って話を続けた。
「ふふ。そのことをしっかりと認識していれば、いくらでも対策を取れるよ。今はまだ衰えたとはいえ貴族は信用と武力という力を持っている。だから、それに加えて新たに『金』という力を手にいれればいいんだ」
「でも、どうすれば?民から重税をしぼりあげるわけにはいかないぜ」
トーラは口を尖らせる。
「ああ。だが『金』を手に入れる方法はそれだけじゃない。現に商人たちがやっているように、『事業』で金を稼げばいいんだ。そうすれば税に加えて事業収入も手に入れることができるから、もしものことがあっても対処できる」
「……あたいたちに商人の真似事をしろってことかよ……確かに、必要なのはわかるけど」
リトネの言いたいことに気がついて、トーラは渋い顔をする。リトネの言いたいことはわかるのだが、いまさら商人と同じことができるか不安だった。
「いや、素人が今やっている商人の真似事をしたって、『士族の商法』になるだけだ。プロの商人にかなうわけない」
「だったら、どうしたらいいんだよ!八方ふさがりじゃねえか!」
ついにトーラは癇癪を起こしてしまった。
「何か新しい事業を始めればいいんだよ。せっかく貴族がもつ信用と武力があるんだから、何ももたない庶民が始めるよりはるかに簡単なはずさ。アッシリア家の得意なことは?」
リトネに言われて、トーラは考える。
「そうだなぁ。家系的に火魔法が使えることだな」
「火か……鍛冶とか?」
「残念だけど、ドワーフたちの専売特許だな。あたいたちには技術がない」
トーラに明確に否定される。
「うーん。ほかには……」
「そうだ。あたいたちは旅が得意なんだぜ。砂漠に引きこもっていたら飢え死にするだけだからな。砂漠でみつけた宝石とかを持って、食料調達にキャラバンを派遣している。各地の事情にも詳しいし、長い旅もへっちゃらさ」
今度はトーラは胸を張っていいはなった。
cont_access.php?citi_cont_id=875042061&s
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ