英国の欧州連合(EU)離脱をもたらした最大の主犯は結果的にキャメロン首相本人となった。残留を訴えていたキャメロン氏だが、やるべきでない国民投票に踏み切ったのも彼だ。純粋なキャメロン氏は、英国民が最終的に合理的な判断に基づく正しい選択をすると信じていたのだろう。ところがこの読み違いがEU離脱という大事件を引き起こした。21世紀最悪の政治判断と言われてもやむを得ない大きな判断ミスだった。
キャメロン氏に劣らない純粋な政治家は韓国にもいた。それは呉世勲(オ・セフン)前ソウル市長だ。「無料福祉」をめぐる論争が大きく盛り上がった2011年、呉氏は突然、無償給食の是非を問う住民投票を決断した。呉氏もキャメロン氏と同じく、ソウル市民は冷静に正しい判断を下すものと信じていたのだろう。ところが結果はすでに知られている通りとなった。呉氏の判断ミスは無償福祉に翼を与えギアを上げる結果をもたらしたのだ。
英国のEU離脱を目の当たりにしながら、デジャビュ(既視感)を感じたとする声も相次いだ。離脱を招いたパワーは英国国民、とりわけ庶民の怒りだ。グローバル化から疎外された低所得層がエリート政治家たちに反旗を翻したのだ。これを「弱者の怒り」と表現するなら、韓国における弱者の怒りも英国に劣らない。社会的・経済的に疎外された庶民の間では、挫折感から「ヘル朝鮮」というぞっとするような言葉も広まっている。このままではわれわれも英国のように、非理性的な形で国の進路が外れるようなことが起こるかもしれない。
■二極化
EU離脱の根底にあるのは拡大する貧富の格差、いわゆる二極化だ。今回の投票結果を見ても、低所得層・低学歴層がEU離脱を圧倒的に支持していた。ちなみに離脱自体は突然降って湧いたような事件ではない。雇用不安に悩み仕事が脅かされていると感じる英国庶民の不満は、いわばガソリンが社会のそこらじゅうにばらまかれたようなもので、国民投票がそれに火を付ける形となった。「EUが何をもたらしてくれたのか」という不満がまさにEU離脱という形で爆発したのだ。