挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
貴族のお坊ちゃんだけど、世界平和のために勇者のヒロインを奪います 作者:大沢 雅紀
100/205

領都アリア

アッシリア邸
そこではデップリと太った代官アクターが、冷たい水で満たしたプールで美女たちと戯れていた。
プールの近くに作られた噴水からは、きれいな水が吹き出している。
「ほれほれ!」
「きゃあ!」
肌もあらわな薄着をきた美女たちは、冷たい水をかけられて歓声を上げる。
「ぐふふ。いいのう」
衣服が水に透けた彼女たちをみて、にやにやとご満悦のアクター。
(ぐふふ……『砂漠の黒炎』と手を組んでよかった。この水はまさに金を生む泉じゃ。下賎な民がどうなろうとしったことではない。王都に戻るための賄賂をためるため、絞りに絞ってやる)
きれいな水はここにしかないため、高値で売っても買い手にこまることはない。そのため、彼は大もうけをしていた。
この世の春を謳歌して美女と戯れ、美食に舌鼓を打つ。
そのとき、民たちの代表が陳情に来た。
「代官様!民はアッシリア湖の水が汚染されたため、渇きに苦しんでいます。どうか、領主館の泉を民に開放してください」
真っ黒い肌をした白いひげの老人が、地面に伏して頼み込む。
彼は隠居して市井で生活していた元アッシリア家の執事だった。
町の人間に頼まれて、代官に交渉に来たのである。
しかし、アクターは煩わしそうに首を振った。
「ならんならん。この水は聖なる水。我ら身分が高い者が飲むものだ。どうしてもほしければ、金を払って買うがいい」
「そんな!先代の領主アッシリア家は、無料で分け与えていただいていたのに……」
「先代は罪を犯して改易されたのじゃ!私には国から託された租税を集めるという大切な仕事がある。これはその一環なのじゃ」
国の権威を背景に上から目線で言い放つ。老人は国という虎の威を狩る彼を憎悪の視線でにらんだが、それをみた代官はあわてて屈強な兵士の影に隠れた。
「な、なんだその目は?民を煽動して騒動でも起こすつもりか?やれるものならやってみるがいい。ワシを代官に任じたのは宰相イーグル・シャイロック様だ。ワシに何かあれば、すぐシャイロック家から大軍が押し寄せてくるぞ!」
不穏な雰囲気を察知して、今度は隣の領の軍事力をもちだす。
「くっ……」
老人は悔しげに唇をかむが、国内最大の貴族家までがバックにいるといわれては引き下がるを得ない。
(……どうしてこうなったのだ!我らが何をしたというのだ)
無念の涙を流す老人に、ブロロロローーーという怪音が響いた。
「な、なんだこの音は!」
初めて聞く奇妙な音に、代官も驚いている。
その時、あわてた様子の兵士がプールに入ってきた。
「ア、アクター様!大変です!シャイロック家の御曹司を何乗る少年が、鉄の車に乗って無理やり館に乗り込んできました!」
「なんじゃと!」
代官は仰天して、服も着ずに飛び出していく。兵士たちもあわてて彼に従った。
(シャイロック家の御曹司だと!われらを苦しめた邪悪な金貸しの跡継ぎがなぜここに……ちょうどいい!殺されてもよいから、われらの苦しみを訴えてやる!)
老人は代官の後についていった。
cont_access.php?citi_cont_id=875042061&s
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ