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妹
「いてっ!」
魔法に集中して『柔竜拳』を切っていたので、上空に転移した石がリトネの脳天に直撃する。
「きゅうううう」
リトネは目を回して気絶してしまった。
(……こいつ、馬鹿なのか?だが、危ない奴には違いない。このチャンスに……)
懐に忍ばせていたナイフを握るが、その前に誰かがくる。
「大丈夫?お兄ちゃん!」
リトネに駆け寄ったのは、10歳くらいの可愛い少女だった。
頭にできたたんこぶに手を当てて治療していると、リトネの意識が戻る。
「あれ?リン?」
「もう。お兄ちゃん毎日傷だらけになっているから、私は心配だよ」
プンスカと怒りながらも、やさしく頭をなでる。
「ごめんな。心配かけて」
「ううん。でも本当に気をつけてね」
リトネに謝られて、リンは機嫌を直すのだった。
二人の間に漂う甘い雰囲気に、おもわずトーラはけっとなってしまう。
(ふん。ガキのくせにいちゃいちゃしやがって。まてよ……もしかしたら)
あることを思いついて、周りにいた騎士に聞く。
「なあ、あのお嬢ちゃんはリトネのことをお兄ちゃんといっているけど、妹なのか?」
「いや、妹じゃないみたいだぜ?仲いいけど」
「そういえば、リンのお嬢ちゃんも貴賓席にいたなあ」
周りの騎士からはこんな答えが返ってくる。
「まあ、そのうち妾にでもなるんじゃねえか?」
「ぼっちゃんは女好きだからなぁ」
「可愛い幼女から育てて理想の女にする……くーーっ。うらやましいぜ!」
騎士たちの下品な声を聞きながら、トーラは内心で決心する。
(リトネをさらうのは無理だ。下手をしたら返り討ちにあっちまう。しかたない。ターゲットを変更して)
トーラは獲物を狙う獣のような目つきでリンを見るのだった。

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