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勇者の否定
「勝者!リトネ・シャイロック!」
司会の男がやってきて、リトネの右手を高く上げる。
闘技場は観客の歓声で沸き立った。
「すげえ!あんなやつに勝つなんて!」
「お世継ぎ様!!!!!!リトネ様!!!!」
観客たちは拍手し、アベルに勝利したリトネを賞賛した。
「お兄ちゃん!」
「……リトネ、すごい!」
「勇者に勝っちゃったね!」
三人が闘技場に上がり、リトネに抱きつく。
「ち、ちょっと、みんな……」
三人に抱きつかれて、真っ赤になるリトネだった。
「ふん。どうやら、ようやく真の『柔竜拳』を身に着けたようじゃの。よくやったぞ」
マザーも上がってきてリトネをほめる。
「ありがとうございました。師匠のおかげで勇者に勝てました」
リトネはマザーに深く頭を下げた。
「勇者?こやつが?ワラワはこんなやつに加護を与えた覚えはないし、勇者にしては行動が短絡すぎるのう。こやつは勇者ではないぞ」
マザーはアベルを見下ろし、冷たく告げる。
「でも、『キチクゲーム』では……」
「いい加減に、そんなホラ話信じるのはやめるがよい。おそらく、今の時代最も勇者に近いのは、ただアルテミックの血を受け継いだこやつではなく、お主じゃ。りっばな勇者になれるよう精進せい」
マザーは初めて、リトネを勇者の卵だと認める。
「ありがとうございます。師匠」
リトネは照れ笑いを浮かべる。
アベルは地面に倒れ伏しながらその会話を聞いていた。
(こいつが勇者だって?僕は認めない。絶対にいつかこいつを倒してやる)
屈辱に震えるアベルに、憎いイーグルの声が聞こえる。
「武道大会を汚したこやつを、牢にいれるのじゃ!」
「ははっ!」
騎士に引きずられて、牢に連れて行かれるアベルだった。

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