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貴族のお坊ちゃんだけど、世界平和のために勇者のヒロインを奪います 作者:大沢 雅紀
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坊ちゃんVS勇者

「おりゃーーーー!」
正面から突っ込んでくる。
「ふん。『剛竜盾』」
正面に気によるバリアーを張って、アベルを止める。
だが、次の瞬間アベルの手に握られた『鋼の剣』が輝いた。
「ふん。こんなもの!」
アベルは鋼の剣に光の魔力を通し、透明なバリアーをあっさりと切り裂く。
「な!」
「覚悟!」
本気で切り殺すつもりで振り下ろされた剣を、死に物狂いで転がってかわす。
「くそっ!『柔竜網』」
今度は柔らかくした気で網を作り、アベルを捕らえる。
「ふん。何度やっても無駄だ!」
アベルの全身から発せられる光の魔法により、透明な網はズタズタに切り裂かれてしまった。
(これは……やばいぞ)
リトネの額につめたい汗がつたう。アベルの勇者としての力は本物だった。

「『勇光弾』」
距離をとったリトネに、アベルは光弾を撃つ。
「くそっ!『剛竜盾』」
よけきれないと悟ったリトネは気によるバリアーを張るが、光弾はすり抜けてリトネに直撃した。
「ぐはっ!」
リトネは衝撃で吹っ飛ぶ。かろうじて最後の瞬間に身をよじって交わしたので直撃避けたが、光弾の余波に打たれて転がった。
「あはは……さっきは大勢相手に戦ったから魔力が尽きたけど、一対一なら僕は最強だ!下賎な金貸しの分際で勇者に逆らうからだ!ほらほら!」
アベルは調子に乗って光弾を撃ちまくる。まったく気による防御が通じず、リトネは逃げ回るしか手がなかった。
「お兄ちゃん!」
「リトネ!」
「リトネ君!」
三人のヒロインの悲鳴が響き渡るが、リトネの旗色は悪い。
「……リトネは何をやっておるのじゃ?」
「きゅいきゅい!」
その時、ミルキーを抱いたマザードラゴンがやってきた。

「マザー様!助けてください!」
「リトネが死んじゃう!」
「お願いします!」
三人にすがりつかれて、マザーはリングのアベルを見る。
「……ふん。あれがアルテミックの子孫か。ずいぶん乱暴者になったものじゃ」
そう一人ごとを言いながら、マザーは思念波でリトネに呼びかける。
『うつけ者!なにをやっておる!』
『師匠!』
光弾をかわしながら、リトネは返事をする。
『以前、波などの衝撃波の類は『剛竜拳』の硬い防御をすり抜けると教えたではないか。光の魔法は波長じゃ。だから通じないのじゃ』
『たしかに!そういえば以前、グーモダンジョンのゴーレムでレーザーうってくるやつがいたけど、あれも通じなかったな……って、それどころじゃ』
あわてて飛んできた光弾を交わす。
『だから『柔竜拳』を修業させたのじゃ!それを使って、防いでみよ!』
マザーのアドバイスに従い、リトネは考え込む。
(波を弱めるもの…あった!)
前世の知識で、海岸の脇に設置してある消波ブロックが思いだされる。
(あれを参考にして……薄い『気』の壁を多段的に何枚も重ねて……)
多重層をもつ盾を作って、光弾を受け止める。
気のバリアーにあたった光弾は膜を通りぬけるにしたがって薄くなり、消滅してしまった。
「なに!?」
絶対の自信を持っていた技が破られて、アベルは動揺した。
「今度はこっちの番だ!新技『柔気装』」
アベルを何重もの薄くて柔らかい気の膜で包み込む。
「く、くそっ!僕は勇者なんだ!こんなところで負けたりなんか!」
気に取り囲まれながらめちゃくちゃに光弾を放ったり、光の魔力を通した『鋼の剣』を振り回すが、気の膜に覆われて身動きが取れなくなる。
とうとうアベルは魔力を使い果たし、ゆっくりとその場に倒れこんだ。
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