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貴族のお坊ちゃんだけど、世界平和のために勇者のヒロインを奪います 作者:大沢 雅紀
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婚約者たちの嫌悪

「ふざけんな!」
「帰れ!」
観客たちのブーイングに、アベルの眉が上がる。
「うるさいやつらだな。文句があるなら、かかってこい!」
アベルが観客に向かって光魔法を打とうとするが、寸前で足が止まる。
あわてて足元を見ると、いつの間にか氷漬けになっていた。
「……『闇氷』。ゴローおじさんの仇!」
怒りに震えて勇者の前に立ちはだかる少女は、ナディだった。
「リンちゃん。お願い!」
「うん!」
続いてリトルレットとリンもやってくる。リトルレットは巨大ペンチを出して勇者を威嚇し、リンはトーラとゴローの治療に取り掛かった。
そのままナディとリトルレットは、アベルと睨み合う。
「……あなたが勇者なら、こんな無法はしない」
「そうよ!勇者ならルールを守りなさい!あんたは負けたんだから、素直に引き下がりなさいよ!」
自分を非難する二人の少女に、アベルは不快そうな顔をする。
「なんだこのガキたち。勇者である僕に向かって生意気な……ん?」
アベルは首をかしげる。なぜか胸にかけているダイヤのペンダントが輝いた気がしたからである。
「もしかして……」
アベルはダイヤを二人に近づけてみると、よりいっそう輝いた。
「ふーん。お前たちが僕の伴侶か。マリアに比べたら、だいぶ落ちるな」
ぶつぶつと不満を漏らす。それを聞いて、ナディたちはますますいきりたった。
「……なんですって!」
「ふざけるな!」
二人の怒る様子をみても、アベルはニヤニヤと笑っていた。
「まあいいや。お前ら、僕と来い」
二人に向けて手を伸ばすが、その手を払われる。
「……気持ち悪い!」
「お断り!」
断固として拒絶してくるヒロインたちに、アベルは怒りを浮かべた。
「なんだって?なら、無理やりでも……」
そういいかけたとき、自分の前に誰かが立ちふさがる。
「……残念だけど、先約があるんでね。俺の婚約者に手を出すのはやめてもらおう」
アベルを押しとどめたのは、厳しい顔をしたリトネだった。
しばらく二人は睨み合う。
[誰だお前は」
「リトネ・シャイロック。後ろの三人の婚約者だ」
それを聞いて、ナディたちはうれしそうな顔になる。
「シャイロックだって?だとしたら、お前が……」
アベルの顔に、邪悪な喜びが広がる。
「いいチャンスだ。おい、俺と戦え!母上の仕返しだ!」
「そんなに暴れたいなら相手になってやる。ナディ、リトルレット、悪いけど俺に譲ってくれ」
リトネに言われて、二人は素直にリングを降りる。
「……リトネ。がんばって。悔しいけど、あなたの方が本物の勇者だと思う」
「そうだよ!あんなホラ話なんていつまでも信じてないで、勇者の座を奪っちゃいなよ!」
二人はリトネに声援を送った。
「……ずいぶん仲いいんだな。婚約者だって?」
それを見て、アベルがニヤニヤしながら聞いてくる。
「ああ。自慢の可愛い婚約者だよ」
「ふん。女神の神託には僕の伴侶だって言われていたけど、薄汚い金貸しに尻尾ふるような女なんかいらないね。僕にはマリアがいる」
「ああ、ありがたくもらっておくよ。お前なんかに絶対渡さないさ」
二人の間に殺気が高まる。
次の瞬間、アベルは奇声を上げて切りかかってきた。

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