2016年7月4日11時32分
◆弁護士・学者ら、講演や著作で訴え
憲法改正の国会発議に必要な3分の2の勢力が形成されるかどうか。結果次第では戦後の分岐点となり得る今回の参院選。だが与党の候補者は多くを語らず、論争は低調だ。「憲法について考えよう」。憲法を学び、教えてきた人々がそう呼びかけている。
「私たちは政治や憲法に無関心でいられても、無関係ではいられない」。弁護士の伊藤真さん(58)は6月下旬、江東区で学生たちに語りかけた。法律資格の受験指導校「伊藤塾」の塾長だ。「憲法改正国民投票や選挙の時に自分の考えでしっかりと判断できる力をつけるため、憲法を学ばないといけません」
昨年以降、講演依頼が増え、授業の合間をぬって全国を飛び回る。9千人規模の講演から、10人ほどが参加したママたちの集まりまで。この2カ月はほぼ連日、講演が続く。「自民党は4年前に発表した改憲草案で『ゴール』を示している」と伊藤さん。学生たちに「目先のことに目を奪われず、日本をどういう国にしたいのか、しっかりと考えてほしい」と訴えた。
明治期に市井の人たちが書き上げた「五日市憲法草案」。1968年、五日市町(現あきる野市)の旧家の土蔵で草案を発見した歴史学者の色川大吉・東京経済大名誉教授(90)=山梨県北杜市=は、精力的に著作を続ける。昨年11月には「五日市憲法草案とその起草者たち」(日本経済評論社)を出版した。
だが色川さんは「大多数の人は自分の懐のことしか興味がない」と憂う。戦時中は海軍航空隊に所属し、特攻隊の基地で終戦を迎えた。「戦争のおぞましさが分かっている人間が発信しなくてはいけない」
ジュンク堂池袋本店(豊島区)では憲法フェアが開かれている。自民党の憲法改正草案の解説本や色川氏の著作など約700タイトルが並ぶ。書棚ごとにテーマに関連する憲法の条文を印刷した紙をはり、普段の暮らしや社会と憲法がどうつながっているかが分かるような展示にした。担当の書店員は「自分たちの将来のために考えるきっかけにしてほしい」と話す。
(高橋友佳理)
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