30年来の国策に暗雲
1年半越しの交渉の末にようやく合意に漕ぎ着けた、石油元売り業界2位の出光興産と同5位の昭和シェル石油の経営統合に、にわかに暗雲が垂れ込めてきた。
ショッキングなことに、統合に待ったをかけたのは、歴史経済小説『海賊と呼ばれた男』(百田尚樹著)のモデルにもなった出光佐三氏の血を引く創業者一族である。
石油元売り会社の統合は、30年来の歴史的な国策だ。加えて、今後も需要減少が続くとみられる石油業界にあって、経営統合は各社が避けて通れない選択肢とされる。
それにもかかわらず、出光経営陣が創業者一族の同意を得られなかった背景には、新たな企業統治(ガバナンス)の確立を求められている日本企業に共通の弱点と課題が横たわっている。
石油業界は戦後長らく、政府の規制下に置かれてきた産業の一つだ。中でも「元売り」は、戦後の復興期にあたる1949年4月、輸入基地の運営と配給業務の遂行を引き継がせる狙いで、政府が内外10社を指定したのが始まりという統制色の強い業態である。
出光は、出光佐三氏が1911年(明治44年)に前身の石油販売業者「出光商会」を門司で立ち上げた。日本では、メジャー(国際石油資本)と肩を並べる“民族系”の石油会社だ。1947年には出光の全国29ヵ店が石油配給公団の「販売店」指定を受け、元売りでも制度発足時に第1陣として指定を受けた10社のうちの1社となった。
1980年代半ば以降に実施された2度の規制緩和まで、元売り業界は、旧通商産業省(現経済産業省)の「護送船団行政」の下に置かれた。1951年の民間企業による石油の輸入解禁や1962年の原油の輸入自由化も名ばかりで、元売り各社は限られた外貨の割り当てや石油業法に基づく供給計画による生産調整を強いられた。
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