昨日、フィギュアスケートの振付のお手伝いが終了しました。慣れない仕事のため、かなり緊張する仕事でした。
(以下守秘義務の関係上、スケーター名、曲目などを伏せてありますことを、ご了承ください。)
午前11時半少し前に新宿のスタジオへ。私は稽古着のほかシューズ2足――フィギュアスケートではサパテアード(フラメンコ独特の足のステップ)がほとんど入れられないためフラメンコシューズのほかスニーカーも持参――、パソコン、フラメンコのイメージをかきたてるような小物、CDなどをキャリーバックいっぱいに詰め込んで出かけた。
スタジオ受付に着くと、スケーターとばったり。「おはようございます! よろしくお願いします!」と挨拶してくださった。
これまで何度もお会いしている――演技を拝見している(笑)――方だが、お顔がかなり細くなられて、痩せられたという印象を持った。
まだ時間前でスタジオに入れなかったので、2階のラウンジへ。私を交えて総勢5人。一応全員に名刺をお渡しした。
スケーターからはお土産のお菓子と、大きなサイン入り写真――その場でサインしてくださった!――をプレゼントしていただいた。
この後、スケーターから「とんでもない情報」がもたらされ、全員で一瞬凍りつく。どうやら、別のスケーターと曲がかぶったことを最近知ったらしい。
ファンの立場からすれば「よくある話」で何でもないことのように思えるが、これからやろうとしている新プログラムの曲がかぶってしまうのは、やはり相当なショックだったらしい。
「こちらはもう振付が終了していることを強調したほうがいい」と、スタッフの方。
(別のスケーターが曲目を変更される方向に進むといいが……。それにしても、最近のフィギュアスケートはフラメンコプログラムが目白押し!)
11時半にスタジオの中へ。今回はフィギュアスケートのため、「天井が低いと危険」ということで、天井高が5メートル以上もあるスタジオをお借りした。
スタジオに入るなり、5人ともびっくり。「広い! スケートリンクみたい」と言いながら、写真を撮りまくった。(笑)
最初の30分は着替えと、ストレッチ。
12時、レッスン開始。全員でスタジオの片隅に設けたミーティングコーナーに座る。
まず、スケーターが発言。
「いただいたフラメンコの資料をきちんと読みました。フラメンコは一つの音楽のジャンルというだけではなく、生き方でもあるということがよくわかりました。そして演技に自分の生き方をこめられると思いました。」
(まじめだ!)
次に、私からフラメンコの2拍子系、3拍子系の話を手短かにして、パルマ(手拍子)でリズム訓練。これはスタッフの方も含めて全員で行った。
(この時、全員でかなり盛り上がりました。)(笑)
その後はフラメンコの基礎練習をしてもよかったのだが、時間もあまりないため早速出来上がった振付を見せていただいた。
演技後、全員で大拍手。
(すごい! 私がいただいていたビデオは振付けたばかりの時のものだったが、練習によってものすごくいいものになっている!)
次に、各パートずつを踊って――「滑って」ではない(笑)――いただいた。私はメモを取りながら拝見。
そして、そこからがたいへんだった。
つまり、振付をされた方は超大物。しかしフラメンコの専門の方ではないので、一つの作品としては美しいのだが、「フラメンコ性」は薄かった。
私としては、「これはこれなりにすばらしい」と思ったのだが、「このままでは先生をお呼びした意味がない。先生にヘンだと思うところをどんどんチェックしていただき、とにかくフラメンコを強く感じられるようなプログラムに仕上げていただきたい!」とスタッフの方。
(「ゼロからのスタート」ではないぶん難しいと思っていたが、ここまでたいへんだとは……)
ビデオにはなくて私が5つ考えていたオープニングに関しては、実にユニークで魅力的な動きがついていたので、スケーターの方にうかがってみた。
すると、「自分は何ものなのか?」とアイデンティティがわからなくなっている人をイメージして自分なりに作ってみました、とのこと。
私も納得し、ポーズの手の形だけ少し直させていただいた。
(これはスケーターのコンセプトだもの、動きはもう絶対変えるわけにはいかないな。)(笑)
こうしてスケートのテクニック以外の部分で、細部にわたり手の動き、顎、首、目線、体のひねり、向き変えなどを手直ししていった。
すると、スケーターからは2つ大きな依頼が!
1. 真ん中あたりの曲の変わり目のところの振付がなじめないので、全く別なフラメンコ的なものに変えて欲しい。
2. ラストのポーズが「座り」だが、膝に不安を抱えているため、「立ち」のかっこいいものに変えて欲しい。
(うわーっ、たいへんなことになって来た!)(汗)
曲の変わり目のところは、私が考えたものを5つほど提案し、スケーターに好きなものを選んでいただいた。
また、「前半と後半のイメージの違いをどう表現したらいいか?」というかなり本質的な質問もいただいたので、「フラメンコには『オートラ・コサ(別物)』という考え方があって、どんなに深刻に踊っていても、後半にガラッと雰囲気を変えることがあります。曲の変わり目でアピールを一瞬コケティッシュに行い、後半の演技につなげてはどうでしょう?」と提案。ものすごく納得されたようで、何度もその部分を踊ってくださった。
(かわいい!)
ラストは、「激しい動きの連続の後、パッと跳びあがり膝をついて終わる」というフラメンコプログラムの常套手段は使えないので、別の工夫をした。
そうこうするうち、残りわずかとなってしまった。
スケーターが途中の休憩を求めなかったため、3時間半ぶっ通しのハードなレッスンだったが、まだまだやりたいことはあったようだ。
そこで、私が体をパタパタ叩くやり方や、手の動きのいろいろをスタッフの方にビデオに撮っていただき、スケーターにそれを見て研究していただくことにした。
さらに大急ぎで衣装のアドバイス。有名デザイナーの方のデザインを変更するのはどうかな? と思ったが、色と細部の装飾に提案をさせていただいた。
大急ぎで記念写真を撮り――普通のもののほかフラメンコポーズも!――、TVの仕事のためにお台場にタクシーで向かうスケーターを見送り、ほっとして、スタジオ近くのカフェで遅めのランチを食べた。
スケーターが「生き方」まで込めたというとてもすばらしいフラメンコプログラムなので、リンクで拝見できる日が今から待ち遠しい! みなさまも、どうぞご期待ください!