本を読まないヤツにとっつきやすいように、がコンセプトかもしれない。(まぁ読者層は放っておいても小説を読むと思うんだが?)
でもこれって人の発想力想像力を大きく削っていると思うんだ。
確かに売りやすいのかもしれない。
その絵でアニメにすればいいし、その絵で漫画にすればいい。原作ファンはその絵に慣れているから受け入れる。(逆に、実写化を難しくしている一つでもある)
でも人物絵の無い小説で面白い小説を読んだとき、昨今の人物絵の乱発は良いのだろうか?と考えてしまう。
絵の無い小説は、自分で一からキャラ造形を作る。その脳内作業って、実はとても面白い。
だけどキャラ読みするような読書家は、自分の中でキャラを組み立てていくのが一番楽しいと思うのだ。
キャラ読み家にとってラノベは、その一番面白い過程が大体表紙時点で失われている。
その面白さを、ラノベの人物表紙を流行らすことによって出版社は奪っていないだろうか。
まぁつまらないどーしよーもない本や、萌えで釣るしかない小説に、キャラ絵をあてがうのはアリだと思うのだけど。
個人的に、ラノベの魅力って挿絵じゃないんだよ。ラノベって軽いノベルじゃん。
文庫(もしくは新書)サイズで、文庫落ちではなく新作を、中高生のお小遣いで買えるのが魅力だと思ってたんだよね当時。
こないだ講談社タイガってレーベルが新設されてて今HP見てるんだけど、まぁ正直どれも同じように見える。
このレーベルもラノベなんだろうか?20-30代向けなんだから、もっと大人感を出しても良いと思う。ぶっちゃけその年代からすると手に取りにくい。
表紙を見ると一人、もしくは二人の線の細い容姿端麗な人物が居る。目新しさが無い。ぶっちゃけどれも一緒に見える。
そんな中、なぜかこのレーベルで一人だけ森博嗣の本は人物絵では無くて、めちゃくちゃ目を引く。(大御所だから出来る技だろうけど)
周りと同じことをやっていては売れない、そう言っている気もするのだ。(作者が作者なだけに)
ラノベ出版社のみなさん。ジャケ買いを促すなら、ちょっとおしゃれな表紙作ってみません?
中高生のころ、かっこいい表紙の本を買うとき、少し大人になれた気がしたんだよね。需要はきっとある。
そういえばラノベが流行ったのって、文庫で、ああいう可愛い萌え絵がついた本が珍しくて手に取る人が多かったからだと思うんだよなぁ。
そうやって初期に若者へ売り出された本が(今より厳選されてて)分かりやすく面白かったから、ラノベ読者層が生まれたんだと思う。
しかしHPだったり本屋を見ると、もう行き詰まっていないか?青い鳥文庫ですら萌え絵表紙じゃないか。
ただでさえ電子書籍が台頭している中で、まずはハードカバーという形態を保持している出版業界の体質の古さについて、考えざるをえないのだ。
(上記に挙げた講談社タイガはその点を理解して、有名作家小説を最初から文庫サイズで発売するという形式をとっているんだと思う。多分。)
例えばSNS時代なんだから、純粋に面白いものを推せばいい。表紙より口コミがある、そっちのが効果的だ。
面白い作品を大量のラノベに埋もれさせるくらいなら、他のラノベを切ってでも、その面白い本をプッシュするべきだ。