訪日外国人旅行客の急増に伴う、都市部を中心とするホテル不足解消の“秘策”として、比較的稼働率に余裕があるラブホテル(ラブホ)が一般ホテルへと改装する動きに対し、政府が資金面での後押しに乗り出している。家族経営など中小・零細事業者が多いラブホ側にとっても、訪日客需要を取り込める政府のバックアップは渡りに船。「改装組」の経営が軌道に乗れば、ラブホがすべて一般ホテルに-といった街が出てくるかもしれない?
「まさに、みなさんは救世主です!」。昨年12月、経営難に陥るラブホ事業者の支援を政府に願い出た業界団体の幹部は、出迎えた政府関係者に褒めちぎられて面食らったという。
日本中小ホテル旅館協同組合によると、訪日客数が急増する中、全国で約1万2千店ともされるラブホの平均稼働率は平日で4割止まり。風俗営業法の規定で、利用客が従業員と面接せずに客室のカギが受け渡せる一方、18歳未満の利用禁止に加え、広告・宣伝が制限されるなどの営業規制を受けるため、訪日客需要を取り込めていない。
とはいえ風営法の規制を外して一般ホテルに転換するには、フロントや客室などの改装工事が必要になるが、中小・零細事業者の多いラブホは一般の金融機関から融資を受けられないケースが多い。こうした事情から、業界団体は何とか政府の支援を引き出そうと陳情に訪れたのだが、待っていたのは望外の高評価。とんとん拍子に施策の後押しが決まったという。
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