草舟で3万年前の航海 沖縄の海で大実験

草舟で3万年前の航海 沖縄の海で大実験
日本人のルーツを研究している国立科学博物館などのグループはおよそ3万年前に、今の台湾から沖縄に渡ったとみられる人たちがどのような航海を行っていたのか検証しようと今月12日、当時を想像して作った草の舟でおよそ75キロの航海に挑戦することになりました。
およそ3万年前の航海を検証するのは、国立科学博物館で人類史研究グループ長を務める海部陽介さんら考古学者や探検家など20人余りで作るグループです。グループでは今月12日、沖縄県の与那国島から西表島までのおよそ75キロを当時を想像して作った草の舟で航海できるか挑戦します。
グループによりますと、近年沖縄の島々ではおよそ3万年前の人骨が相次いで見つかり、DNA分析の結果、中国南部など南方の地域と関わりがあることが分かっていますが、この時代は木を加工できるほどの石器などが出土していないため、どのような舟で渡ったのかが大きな謎になっています。
これまでの研究で、島に自生している草を乾燥させ、植物のつるで束ねる方法で沈まない舟を作れることが分かり、グループでは10人近くが乗れる大きさの草の舟を作って実験航海に臨むことにしています。
グループの代表を務める海部さんは「3万年前は、原始的で素朴な時代だと思われているが、非常に難しい航海に果敢にチャレンジをしていた可能性があり、実際にやってみることで祖先たちの知られざる姿に少しでも迫りたい」と話しています。