英保守党の党首選 きょう1回目の投票

英保守党の党首選 きょう1回目の投票
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イギリスが国民投票でEU=ヨーロッパ連合からの離脱を選択したことを受け、辞意を表明したキャメロン首相の後任を選ぶ与党・保守党の党首選挙は、5日に1回目の投票が行われる予定で、離脱派と残留派の双方から立候補した5人が激しく争っています。
イギリスでは、EUへの残留を訴えてきたキャメロン首相が国民投票の結果を受けて辞意を表明したため、与党・保守党の党首選挙が行われることになり、国民投票で離脱を支持した3人と残留を支持した2人の合わせて5人が立候補しています。
このうち離脱派では、マイケル・ゴーブ司法相が、最有力候補とみられていたジョンソン下院議員への支援を撤回してみずから立候補したことで支持を広げられず、電力やガス市場の担当相のアンドレア・レッドサム氏が支持を伸ばしています。レッドサム氏は4日の会見で、できるだけ早くEUとの離脱交渉を始めたい考えを示しました。
一方、残留派ではEUの加盟国から流入する移民問題に懸念を示してきたテリーザ・メイ内相が、党内で最も幅広く支持を集めています。メイ内相は、国民投票の結果を尊重するとしたうえで、EUから離脱するための交渉を年内には開始しないとしています。
5日に行われる1回目の投票は保守党の下院議員が参加し、得票が最も少ない候補者が除外されることになっていて、さらに2回の投票で候補者を2人に絞り込んだうえで、党員も投票に参加して9月初めまでに次の党首が決まる見通しです。

立候補 5人の顔ぶれ

キャメロン首相の後任を決める与党・保守党の党首選挙に立候補しているのは、5人です。このうち、EU=ヨーロッパ連合からの離脱の賛否を問う国民投票で離脱を支持した勢力からは3人が立候補しています。

マイケル・ゴーブ司法相は48歳。離脱派の運動を率いた1人で、当初は党首選挙でボリス・ジョンソン下院議員を支持する意向を示していましたが、選挙の締め切り直前、ジョンソン氏には党を率いる力はないと判断したとして、みずから立候補を表明しました。
会見では、EUとの離脱交渉について、「国民に安心してもらうには交渉開始はことしではないだろう」と述べ、年内に交渉を始めるのは難しいという見方を示しています。

アンドレア・レッドサム氏は53歳。元銀行員で、2010年に下院議員となり、現在は電気やガス市場の担当相を務めています。
レッドサム氏は4日の記者会見で、移民問題へのイギリスの対応について、「人の移動の自由を終わらせる。働きに来る人の数は議会で毎年、決める」と述べています。また、EUとの交渉についてはできるだけ早く交渉を始めたい意向を明らかにしました。

リアム・フォックス元国防相は54歳。医師として働き、1992年に下院議員になりました。党首選挙への立候補は、キャメロン首相が勝利した2005年以来、2度目となります。かねてよりEUに懐疑的で、「EUを離脱してこそイギリスの主権を取り戻すことができる」と主張し、離脱を訴えてきました。

一方、残留を支持した勢力では2人が立候補しています。いずれも国民投票の結果を尊重しEUとの離脱交渉を進める意思を示しています。
このうちテリーザ・メイ内相は59歳。党内の要職も歴任し、テロ対策の責任者の1人としてキャメロン政権を支えてきました。国民投票では、残留を支持していましたが、立候補を表明した記者会見では再び国民投票が行われる可能性はないと断言しました。そのうえで「イギリスの交渉戦術が固まるまでEUに離脱を通知しない」と述べ、年内の通知はないという見解を示しました。

スティーブン・クラブ雇用・年金相は、43歳。残留を支持していましたが、「国民投票の結果は明白で2度目はない」としてEUを離脱して移民に対する規制強化を求める人たちの声にこたえるとしています。スコットランド出身のクラブ氏は、国民投票後、スコットランドの独立論争が再燃したことを巡って「スコットランドのないイギリスはありえない」とイギリスの団結を訴えています。

イギリスの公共放送BBCによりますと、どの候補者を支持するか4日の時点で明らかにした保守党の下院議員の数は、全体の59%ほどにあたる194人で、このうちメイ内相が105人、レッドサム氏が32人、ゴーブ司法相が24人、クラブ雇用・年金相が23人、フォックス元国防相が10人だということです。

党首選挙の仕組み

与党・保守党の党首選挙。3人以上いる場合は、まず、保守党の下院議員による投票が行われます。投票では、最も得票数が少ない1人が脱落していく仕組みで、最終的に2人に絞り込むまで投票が続けられます。
今回は、離脱派の3人と残留派の2人の合わせて5人が立候補しました。このため今月5日と7日に行われる2回の投票を通して、候補者は5人から3人となり、12日の投票で2人に絞り込まれます。その後、この2人の候補者による選挙戦がはじまり、候補者は全国を遊説するなどして支持を呼びかけます。
投票は全国におよそ15万人いると言われる保守党員が郵送で行うことになっていて、このうち過半数を獲得した候補者が党首となります。
今回、投票は9月8日に締め切られ、翌9日に新しい党首が選出されることになっています。