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 ネットの普及で出版物の売り上げが減り、書店も苦戦する中、意外な場所で「本」が注目されている。アパレルショップや雑貨店でおしゃれな雰囲気を出し、売り上げを伸ばすための品ぞろえの一つとして、書棚を設けて本を並べることが増えている。

 東京・有楽町にある「無印良品」。全国でも有数の規模の店に入ると、上階へとくねくね伸びる木製の書棚が見える。店の書籍売り場「MUJI(ムジ) BOOKS(ブックス)」には、約2万冊の本が並ぶ。「食」「生活」といったテーマが中心にそろう。小説や実用書、写真集も並ぶ。

 本の近くには関連した雑貨が置かれる。レシピ本「ホーローバットで作る とびきりスイーツ」の隣には、ホーロー容器が置かれる。合わせて雑貨も購入してもらうことを狙った仕掛けだ。良品計画の清水洋平マネージャーは「本は商品の製造過程や素材のこだわりなどを伝えられるメディア」と、雑貨販売との相乗効果があると説明する。

 同店では、書棚が様々な商品の売り場をつなぐ役目を果たしている。来店客が本を眺めながら店内をゆっくりと回り、普段は通り過ぎている商品に気づいてもらえる効果もある。

 良品計画は、店づくりの新たな展開として雑貨と本との融合を模索。2014年秋に岡山市の店舗で試験的に導入した。その後、福岡、有楽町と広げた。有楽町では本の売り上げは多くないが、客数や店全体の売上高を上げる効果が出ているという。同様の売り場は仙台や台湾、上海で展開し、今後も広げる予定だ。

 アパレル雑貨ブランド「ニコアンド」が14年秋、東京・原宿にオープンした旗艦店「ニコアンドトーキョー」には書籍コーナーがある。ランボーや三島由紀夫の著書など2千冊ほどが並ぶ。星野明営業部長は「モノがあふれ、リアルな店舗では『発見』がないと厳しい」と話す。本が暮らし方を提案し、商品購入の後押しになるという。

 同店では以前、環境に優しい暮…

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