社会

女性暴行殺害の米軍属、東京地裁へ移管要求 「沖縄の人の裁判受けたくない」「不公平」

 米軍属女性暴行殺人事件で、殺人や強姦(ごうかん)致死などの罪で起訴されているケネス・フランクリン・シンザト(旧姓ガドソン)被告(32)の弁護人を務める高江洲歳満弁護士が4日、裁判の管轄を那覇地裁から東京地裁へ移転することを求め、請求書を那覇地裁に提出した。高江洲弁護士によると、ケネス被告から「予断に満ちている。沖縄の人の裁判を受けたくない」などと申し出があったという。

 最高裁は、裁判員裁判で管轄移転請求がされた例について「把握していない」と回答した。高江洲弁護士によると、認められれば全国で初めてだという。
 請求書では「自白内容や物証の存在などがマスコミで報道され、県民全てが事件に予断を持っている」とし、県民は被害意識を持っているため、不公平な裁判をする恐れがあるなどとしている。
 全市町村議会が抗議決議をしており、日米地位協定改定や基地撤去の政治活動も活発にされていることや、うるま署前で「黙秘するな」と叫ぶ抗議行動をした政治団体があったとして「これらの政治活動は本件審理に大きな影響を与えずにはいられない」として、移管を求めている。
 刑事訴訟法では「地方の民心、訴訟の状況その他の事情により裁判の公平を維持することができない虞(おそれ)があるとき」は、被告は管轄移転の請求をできるとしている。1995年の少女乱暴事件では、論告求刑公判の直前に被告側が管轄移転請求を求めた。約1カ月後に最高裁が請求を却下したが、その間審理は中断した。今回の事件でも、管轄裁判所が決まってから公判前整理手続きなどが始まるとみられ、公判の時期はずれ込むことが予想される。



琉球新報