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五輪プールは日本人向き!高温28度に設定
【アテネ2日=田口潤】日本水泳のエース北島康介(21=東京SC)の金メダル獲得に追い風が吹いた。この日、五輪センターメーンプールに水がはられ、水温が28度と高温に設定されることが分かった。25度前後の低温を好む欧米勢とは対照的に、日本勢はスポーツクラブの室内プールで練習する選手が多く、高めの水温を好む。先月ハンセン(米国)に平泳ぎ2種目の世界記録を更新されるなど、逆風続きの北島にとっても、高温プールは最高の味方になる。
アテネの水が、日本水泳陣の味方になる。この日、準備が遅れていた五輪本番プールに、水が入れられた。水温について、アテネ五輪組織委員会(ATHOC)関係者は「水温は28度になる」と明かした。日本選手は27度以上の高めの水を好む。金メダルを狙う北島にとっても、高温プールは大きな支えになる。
昔から日本選手は暖かい水が好きだ。72年ミュンヘン大会では、田口信教がレース前に30度と競泳用より3度以上水温の高い飛び込みプールで体を慣らして100メートル平泳ぎで金メダルを獲得した。日本選手はスポーツクラブ所属の選手が多い。営業プールで練習するが、老若男女が使用するため、水温は常に高めに保たれている。4月の日本選手権が行われた辰巳国際水泳場も、記録が出やすいように27・5度に設定されていた。
低温プールでは苦い経験がある。96年アトランタ大会の水温は24度と低めに設定され「冷えて体が動かない」と漏らす選手が続出。青山、千葉ら史上最強といわれながらメダルゼロの惨敗に終わった。日本勢とは逆に欧米選手は高温を嫌い、25度以下の低温でもまったく苦にしない。01年世界選手権福岡大会では27度の高め設定に、欧米各国からクレームが出た。日本代表の青木剛監督が「水温が気になるね」と漏らすほど、本番プールの温度設定はメダル量産のキーポイントだった。
今大会の本番プールには予定していた屋根がつかなくなった。これも水温だけを考えれば、日本にとっては有利。アテネは日照時間が長いため、水温は30度以上に上がる可能性もある。水が暖まれば、暖まるほど、日本選手の動きはよくなり、ホームプールのような感覚になる。先月30、31日の滞在中は、準備不足のため本番プールで練習できないなどドタバタが続いた。だが、アテネの水は暖かく、日本を迎えてくれそうだ。
[2004/8/3/10:04 紙面から]
写真=開幕を待つ競泳プール(撮影・野上伸悟)
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