椎木里佳(しいき・りか)
1997年生まれ。株式会社「AMF」代表取締役社長。現在、慶應義塾大学文学部1年。
女子中高生のマーケティングチーム「JCJK調査隊」を運営し、女子中高生向けのプロデュース事業などを手がけ、株式会社TOKYO GIRLS COLLECTIONの顧問、タグピク株式会社の戦略顧問にも就任。2016年2月には、Forbes ASIAが選定する「30歳以下の世界が注目すべき30人」に選出される。2016年6月16日に、2冊目の著書『大人には任せておけない!政治のこと』(マガジンハウス刊)が刊行。
シンガポールの授賞式で、日本はイケてないっていう現実を突きつけられた。
——女子高生社長として一躍有名になった椎木さん。
今春に高校を卒業し、慶應義塾大学に進学して早3ヶ月が過ぎようとしています。大学生活はどうですか?
椎木里佳(以下、椎木) 高校までは中高一貫で気心の知れた友達がたくさんいたのですが、大学は全くそうではなくって地方から出てきた子や、様々な土地から学生が集まってきているので新鮮ですね、視野が広がります。メディアを通して私のことを知っている方が大勢いたりして、入学当初は良くも悪くも注目を浴びていました(笑)。
最近はそんな大学生活にも慣れてきましたし、講義では外国語に力を入れています。特に中国はこれからもマーケットとして可能性があるので、中国語は話せるようになろうと思ってます。
事業も、大学生になって更に力を入れていて、インターンも増えて、最近はオフィスを整備したりとか、爆速経営を心がけています(笑)。
——そんな椎木さんですが、今年5月には、“「ForbesASIA」が選ぶ30歳以下の世界を変える30人”に選ばれたとのこと、おめでとうございます。会社としても海外を視野に入れていると伺っていますが、最近Twitterで日本についてツイートしたコメントが話題になっていましたね。それもその表れでしょうか。
5月23日 授賞式後のTweet
椎木 授賞式(シンガポール)のアフターパーティで、いろいろと衝撃を受けたんです。とある国の女性に自分がやっている「JCJK調査隊」(女子中高生メンバー50名を擁するマーケティング事業)のことを話したら、その話の流れから「東京なんて全然すごいと思っていない」と言われて。シンガポールに行く前までは、正直、日本はリスペクトされていると思ってたんです。「日本の文化いいよね、クールだよね」って。でも実際は全然違った、それを目の当たりにしちゃって。
日本人ってどうしても、“不都合な真実”に目を向けたがらないですよね。だから、イケてないことをなかなか認められないと思うんですよ。でも、ちゃんと目を向けて問題を解決しないと、どんどんなめられて世界から見た日本の評価が下がってしまうと実感したんです。
無条件に海外の方が素晴らしいってわけじゃないし、日本も元気が無いわけじゃないんだけど、外国人に日本のニュースについて尋ねてみると、ネガティブなニュースしか知られてなくて。日本のポジティブなニュースなんて挙がってこなかった。“やばい、日本イケてるって思われてないんじゃない?これはマズイぞ”、と思いましたね。
シンガポールで行われた授賞式での写真
——そういった現状を知って、どんな気持ちでツイートしたんですか?
椎木 まずはその現実を伝えたい、と思いました。シンガポールの街を歩いてても、日本の製品は多くないし、日本のメーカーの物は他の国の物に比べて端に追いやられていました。
ファッションもそう。日本のプロダクトで、実際に世界に通用しているものってわずか。認めるのは苦しいけど、それを飲み込んで、今後は海外基準で生き残れるものを作っていかなきゃいけない。
そういった気持ちが高まって、帰国後すぐにツイートしたんです。本当はアフターパーティのあとシンガポールのホテルで上げようと思ったんですけど、「今じゃないな」って思って一旦日本に持ち帰りました。 帰国してもやっぱり自分の気持ち(衝撃)は熱かった。それを伝えたくて、1ツイートに20分くらい考えましたね。3本ツイートしたから1時間かけて気持ちを綴りました。
「アジアの若者」と一緒に何かを作って仕掛けていきたい。
——海外に目を向けるという側面で、周りの同世代はどんな意識の方が多いですか?
椎木 日本の若い世代が海外に興味がないわけじゃないんです。周りを見ていても、今の10代はグローバル意識が高い子は多いですよ。でも、留学する意義や目的まで考えている人は少ないかもしれません。せっかく語学を学んでも、活用する場所がないまま忘れてしまったりして。私の感覚だと、同世代はとにかく“いい子が多い”っていう印象です。反抗したり、反骨精神みたいなのを感じないんですよね。もったいないですよね。
——若い方にグローバル意識の高い方が多いというのは意外でした。ぜひそういった方々に前に出て行ってもらいたいですね。椎木さんはそんな若い方々を牽引していく存在になると思うのですが、これからどんなことを日本から世界に向けてやっていきたいと思っていますか?
椎木 シンガポールに行く前は、アジアで日本の「かわいい」を広めていけるようなマーケティングのビジネスをしようと思っていたんです。が、いざ現地へ行ってみてそもそも「日本イケてる!」って思われてないんだってことを痛感して、日本のことをアジアや世界に広めるビジネスでは弱いと感じました。
私は日本人である以前に、アジア人でもあって、今後より世界にインパクトのあるビジネスを仕掛けるためには、「アジアの若者」と一緒に何かを作って仕掛けていく方がより大きくて面白いことができるんじゃないかって思っています。
いまはSNSもあるし、いくらでも海外とつながれる時代ですし。
日本のマーケットに対してだけビジネスをやっていくのでは勿体ない、もっと世界に視野を広げないとってことに気づいている同世代は少ないと思うので、はやくそれを形にしていきたいと思っています。
シンガポールに行ってからビジネスモデルを考えるうえでの視野の広がりを感じますし、
同時に私たちがこれからのアジアを担っていくんだっていう責任感も感じるようになりました。
記事:河辺さや香/QREATOR AGENT
写真:木村心保
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