どうも、hashiken(@conteanime)です。
パソコンやお絵かきソフトが昔より安く手に入るようになって、デジタルで絵を描く人数も年々増加してると言われています。一方でそうしたいと思いながらも、なかなか一歩を踏み出せずあーでもないこーでもないと悩む人もいるんじゃないでしょうか?
筆者は元々アナログで漫画家を目指し、いろいろあって遊技機のアニメ原画の仕事に就き、その後ようやくデジタルに移行しました。ペンタブレットというデジタルの鉛筆(?)も30過ぎて初めて触った経歴です(笑
それ以降は会社でも個人でも、99%デジタル業務しかしていません。そんな人間が、絵を描く上でのデジタルとアナログの違いを色々まとめてみました。
結論から言うと、デジタルはあくまで絵を描くためのツールの一つです。素材や状況によって使い分ければいいだけです。自分がどんな状況で今後なんのために絵を描いていくのか、それに合わせて判断すればいいだけのものです。
だから軽く考えましょう。この記事が悩みを解消するひと押しになればと願います(笑
※純粋に機材やソフトに関して悩んでる場合は、こちらの過去記事が参考になります。
目次
絵を描く上でのデジタルのメリット・デメリットとは?
基本的なことですが、あらためてデジタルとアナログの違いをまとめておきます。どの方向性を選ぶにしてもしっかり頭に入れた上で決めましょう。
デジタルのメリット
- 何回でも直せる
- 手も素材も汚れない
- 細かく分けて作業できる
- 画材がほぼいらない
- 仕事が幅広く受けられる
パソコンで絵を描く最大のメリットは、やっぱり紙を汚さずに何度も描き直せることでしょう。なんどでも直せるってことはつまり、修正の繰り返しによってより精度を高めた絵に近づいていけることにも繋がります。・・・悲しいかな、つながらない場合もあります(笑)
更にパソコンでの絵の作業には、昔でいう写し紙やアニメのセル画のようなレイヤーという概念を使うので、細かくパーツや工程ごとに分けて作業を進めて最後に合成したり・・・また分割したりってことがほぼ自由自在にできます。
デジタルは細かい画材を買う状況もかなりの面において削減することが出来ます。
仕事に関しても、単純にデジタルでの作業の幅が広くなっているので今やアナログよりも探しやすい現実があると言えるでしょう。
デジタルのデメリット
- 初期投資がかかる
- 慣れるまで時間がかかる
- 描き込みすぎる
- 修正が多くなりがち
- アナログに戻れなくなる
メリットで書いたことと矛盾するようですが、デジタルには最低限の初期投資が必要です。
パソコン、ペンタブレット、グラフィックソフト。それぞれ選択肢は様々ですが、この3種が必要です。値段は上下幅広いですが、頑張れば10万未満で揃うでしょう。
絵を描く場合は誰もがまずアナログから入ると思いますが、手元の紙を見ながら鉛筆などで直接描き入れていくアナログスタイルから正面のパソコン画面を見つつ手元は見ないでペンタブレットを動かす作業するデジタルスタイルへの移行はやはり最初は難しい部分もあります。
ただこれは本当に慣れでしかないので、最初は無理でもやってるうちに必ず出来るようになります。※どうしても手元を見ながらデジタルをやりたい場合は液晶タブレット(液タブ)と呼ばれる物もありますが、20万前後とかなり高価です。
アナログと違い細部を拡大して見れてしまうので粗が目につきやすく、自然と直す作業も増えたりします。仕事で提出した場合もクライアントに細かいとこまで見られて指摘されることは往々にしてあります。デッサンの狂いも発見が容易なので、細かいとこまで気を抜けないのがデジタル絵の仕事かもしれませんね。
そして最後に、デジタルに慣れるとアナログと比べて便利すぎるためにアナログ作業を億劫に感じるようになる人が多いです。レイヤーのない世界に戻ることのしんどさは、一度染まってしまうとなかなか抜けだせません(笑 それは覚悟しておきましょう。
絵の仕事の種類ごとの考え方
デジタル・アナログと一言で言っても、職種による向き不向きが多少あるものです。それぞれでの使い方を知っておきましょう。
イラスト
仕事でのイラスト制作に関しては、デジタル環境が求められることが多いです。発注する側もデジタル上で直すことが殆どなので、アナログで描いたもの自体見かけることがほぼほぼありません。
ただ、ネットでアイコン用に使ったりする絵だとかスマホゲームで使われるカードイラストなんかはアナログということは基本的に無いので、イラストで生きていきたいなら早めにデジタルに移行しておいて損はしないでしょう。
アニメ
アニメの場合は工程ごとに結構分かれると考えたほうがいいでしょう。
- キービジュアル
- キャラクターデザイン
- 絵コンテ
- レイアウト
- 原画
- 動画
- 彩色
- 背景
ざっくりですが、直接絵を用意する工程はこの辺りになるでしょうか。作業者にもよりますが、キービジュからレイアウトまではデジタル化が徐々に増えているような印象です。
修正が利きやすいのと、構図なども描いたあと回転・拡縮させて調整が自由に利くので特に演出が強く絡むパートはデジタルのほうが有効な場合もあるでしょう。また彩色や背景は既にほぼデジタルですね。(ジブリなど、演出的にあえてアナログでやる場合は除きます。
ただ原画・動画に関しては何よりもスピードが求められるために、なかなかデジタルには移行していけない部分があるようです。
漫画
コミックスタジオや最近のCLIP STUDIOなどを使うとパソコン上でかなりスムーズなマンガ制作が可能なため、若い世代ほどデジタル移行が進んでる印象です。逆に大御所の作家はアナログのままの人が多いでしょうね。
アシスタントを遠方の人に頼む場合や、スクリーントーンやベタなどのパートなんかはデジタルにしてしまったほうが圧倒的に効率がいいでしょう。
原稿という紙データを汚したり破損したりしない意味からも【漫画のデジタル化】は特に恩恵が多いかもしれませんね。
絵を描く仕事の将来像、人間はこの先どこまでやれるのか?
最近アンケートでたまに見るのが、『○十年後になくなっている職業は?』というテーマです。今後ロボットなどに置き換えられそうな仕事ってことで『えっこんなものまで?』みたいなものもあがってたりしますよね。
ここでは、ロボットやソフトの処理で置き換え可能そうな絵の作業をあげてみたいと思います。
そういう仕事だけをやっていくといつかロボットにリストラされちゃうことにもなりかねないので、なるべく幅広いことをやるようにして自分の価値を高めておきましょうね・・・お互いに(笑
イラストで置き換えられそうな工程
- 線画
- 彩色
- 背景
- エフェクト
- 差分作成
アニメで置き換えられそうな工程
- 動画
- 彩色
- 背景
漫画で置き換えられそうな工程
- ペン入れ
- 枠線
- ベタ
- トーン
・・・細かい部分の言及はしませんが、この辺りはやりようによっては置き換えられそうに思うんですがどうでしょう? ここ最近の自動運転の車など見てるともう避けられない現実として遠くない未来に来ちゃう気がします(笑
最近は星新一タッチの小説とかコンピューターが書けたりもするので、究極的には原案も担っちゃうようになるんですかね?
結局のところ絵の初心者はどうすべきなの?
まずは自分が絵で何をしたいのかを考えましょう。イラストなのか、アニメなのか、はたまた漫画なのか・・・。
次に、選んだ分野で個人の作家として作品を発表していくか、もしくは会社員やフリーとして仕事を受託していくかによって・・・デジタルでなければいけないか、まだアナログでもいいのかが自然と決まるはずです。
冒頭に書いたように、デジタルはあくまでも絵を描くツールです。
必要な描き方はそれぞれで変わりますが、自分の人生に必要ないなら何も無理して使う必要はありません。
ただ、使えないよりは使えたほうが仕事において潰しが利きますし、やれることがひろがることで表現力自体も増す可能性はあるでしょう。またアナログで描くより直しが容易だったり何度も直せることで絵自体の見た目を向上させやすいので、絵のクオリティを高く見せることに役立つ面もあります。
さいごに、
仕事の依頼に関して言えば、アナログで仕事の依頼が来る状況は今後どんどん減ってくるでしょう。(しつこいですが、芸術系や著名な作家は除きます。
理由は単純で、クライアント側も絵のデータをデジタルで処理したり管理することが多いからです。なのでそういった相手からの仕事を得たいのであれば、デジタルは必須と考えて進めればいいでしょう。
実際、デジタルの便利さに慣れるとアナログにはなかなか戻れなくなります。自分の場合も、もはや手描きで何かする気にはなれないのが本音です(笑
デジタル全盛期だからこそ、逆にアナログへのこだわりから辿り着ける境地も当然あると思うので周りに流されて決めるんじゃなく、あくまで自分のしたいことを軸に考えていけるといいかもしれませんね。