バングラデシュの首都ダッカで発生した人質事件で安否不明の日本人7人全員の死亡が確認されたことを受け、政府は遺族への対応などに全力を挙げる。その一環として、3日にも政府専用機を派遣する準備に入った。関係閣僚による会議も予定している。

 菅義偉官房長官は2日深夜の緊急記者会見で、「政府としては対応に万全を尽くしてきたが、このような結果に終わったことは、痛恨の極みであり、残念至極だ」と述べた。

 菅長官は被害者の氏名について、2013年1月のアルジェリア邦人人質事件と同様、家族らの了解を得ていないとの理由で公表を控えた。

 安倍晋三首相は同日夜、首相官邸で記者団に「今回の残虐非道なテロによって、罪のない多くの方の命が奪われた。強い憤りを覚える」と強調。「国際社会が共有する普遍的価値に対する挑戦であり、断固抗議する」と語った。

 首相はまた、「内外の日本人の安全確保のため、全力を尽くす」と表明。在留邦人の安全確保に関する取り組みを強化する方針を示した。

 首相はこれに先立ち、同国のハシナ首相と電話で会談し、情報提供を求めるなど協力を要請。また、現地対策本部で陣頭指揮を執るため木原誠二外務副大臣をダッカに派遣した。

 政府は、アルジェリアの人質事件でも専用機を活用。被害者やその家族を輸送する方針だ。

 一方、岸田文雄外相は外務省で記者団に対し、「国際社会としてテロに対して強い非難のメッセージを発しないといけない」と指摘。国連安全保障理事会で今後、関係国と協議する方針を示した。