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金髪の少年
「面白そう。強そうな人いっぱいきているね」
筋肉ムキムキの大男や、怪しげな魔法使いを見てリンが無邪気に喜ぶ。
「……なんでこんなにいっぱい参加しているの?」
ナディが首をかしげる。
「ふっふっふ。優勝賞品の『鋼の剣』を餌にしたかいがあったな。リトルレットに作ってもらってよかった」
「『鋼の剣』って、アレでしょ?異世界のゴミであるスチールの水筒を溶かして固めただけの剣。あんなの、金属の価値はともかくたいした武器じゃないとおもうけど」
リトネに剣を作らされたリトルレットはそう漏らす。
「いいんだよ。剣に必要なのは実用性じゃなくて話題性。伝説の金属で出来ているって言えば、なんでもありがたがるんだから。ほら、おかげで大盛況だよ」
受付には参加者や観客が払った金貨や銀貨の山ができていた。
「まったく……君はお金にがめついね。それで、君は出ないの?」
「というか、出れないよ。俺は主催者だし。俺たちの役目は偉そうに貴賓席で座っていること。それにこれは、魔法を使える人材や強い兵士の面接試験も兼ねているんだ。だから、じっくりみないと」
リトネは苦笑して首を振った。
「それもそうか……ざっと見たところで、有名な冒険者はいないみたい……あれ?」
リトルレットは一人の参加者に目を留める。
「ねえねえ。かっこいい子がいるよ」
リトルレットが指差す先には、なぜか目が前髪で隠れた金髪の少年がいた。
「げっ!」
一目見ただけで、その少年が何者かわかってしまい、リトネはいやな顔になった。
「お兄ちゃん。あの人知っているの?」
リンが聞いてくる。
「い、いや……知らないよ」
リトネは そっぽを向いて、口笛を吹く。
「……怪しい」
ナディがジト目で見てくるが、リトネはあくまでとぼける。
「知らないったら知らない。それより早く貴賓室にいかないと。君たちの席も用意しているから……」
リトネがそこまで言ったとき、受付でその少年が怒鳴りあげた。
「いいから、僕にその『鋼の剣』をよこせ!」
懐から重い袋を取り出して、テーブルに放り投げる。
「そうおっしゃられても……」
「僕はアルテミックの血をひく勇者だぞ!母はいずれ王妃になるアントワネット銅爵夫人だ!その僕がこんな下賎な者たちと戦う必要はないだろ。1000アル支払ってやるから、剣をよこせ」
受付で大声でがなりたてている。

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