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天竜のよろい
「クイーンビーよ。迷惑をかけた。こやつはワラワの弟子でのう。お主の子らには修業につきあってもらったのじゃ。騒がせたのはわびよう」
マザーが降りてきて、頭を下げた。
『ふん。マザードラゴンか。しばらくぶりだね』
クィーンビーの姿が変わっていく。黄色い服を着たきつめの美人になった。
「ああ。400年ぶりじゃの」
「それで、こいつが勇者の後継者ってやつかい」
クイーンはリトネをじろじろと見る。
「まだ後継者とはいえんのう。ようやく父に一歩近づいた程度じゃ」
そういいながらも、マザーは明るく笑う。
「ふーん。あいつはいい男だったが、こいつはいまいちだねぇ。まあいいや」
クイーンが合図すると、何匹かの黄金蜂が巣に戻っていく。
しばらくして、宝箱を持ってきた。
「あんたのほしいものはこれだろ?『天竜の鎧』だ」
「いや、いりませんから」
天竜シリーズの実態を知っているリトネは、手を振って断る。
それを聞いて、クイーンは嫌な顔をした。
「いいからもっていけ。こんなものをアルテミックから預かったせいで、この400年馬鹿な人間が何人も来てうざったいことこの上ないんだよ」
クイーンが指差す方向をみると、何十人もの鎧を着た白骨死体があった。
「あらら……」
「うちらに人間の伝説の鎧なんてなんの価値もないよ。ついでに邪魔になるから、あいつらの装備品や所持品も持っていきな!」
蜂たちが勝手に宝箱に死体の所持品を入れる。ただでさえ重い宝箱が、もっと重くなってしまった。
「いい土産をもらったではないか。ちょうどいい。それを担いで家まで戻ってこい」
マザーは笑いながら、リトネをおいて空に飛び上がる。
「そ、そんな!」
「これも修業じゃ」
マザーはそのまま飛び去っていってしまった。
「……あんたも、大変だね。それじゃがんばりな」
クイーンと蜂たちも巣に戻っていき、後にはぽつんとリトネが残される。
「う、うううう……」
それから宝箱を担いで100キロほど冒険の旅をするのだが、それはまた別な話-。

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