挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
貴族のお坊ちゃんだけど、世界平和のために勇者のヒロインを奪います 作者:大沢 雅紀
70/205

柔竜網

「はぁ……助かったよ。リン。ありがとうな」
「どうしたしまして。でも、お兄ちゃんの体が心配だよ」
「きゅいきゅい!」
ミルキーも寄ってきて、心配そうにリトネの顔を舐める。
「うわっ。くすぐったいよ。でも、慰めてくれてありがとうな。あれ?」
リトネはミルキーの部屋にあった本を取り上げる。そこには「昆虫のひみつ」と書かれていた。
「お兄ちゃんが召喚した本って面白いから、ミルキーに読み聞かせてあげているの」
「きゅいきゅい!」
ミルキーが興味深そうに本を覗き込む。そこには麦藁帽子をかぶり、虫取り網を持った少年の絵が描かれていた。
「まてよ……『気』をコントロールして……」
リトネは思いついたことを試してみると、簡単に成功した。
「よし。明日はこれで決まりだな!」
自分の思いつきに自信をもつリトネだった。

次の日、マザーに『黄金蜂の谷』に連れて行かれるが、リトネは自信満々だった。
「その顔は、何か思いついたのか?」
「ええ。マザーのおっしゃられたとおり、『柔よく剛を制する』といいますからね。防御だけじゃだめだって気がついたんですよ」
「ほう……」
マザーはリトネのドヤ顔を見て、ニヤニヤ笑っている。
「ならば、お手並み拝見といこう」
『黄金蜂』の巣の前に、リトネを突き落とす。余裕を持って着地したリトネは、襲い掛かってくる黄金蜂に対して両手を向けた。
「ふふふ。『攻撃は最大の防御なり』だ!見るがいい!新技『柔竜網ドラゴンネット』」
リトネが叫ぶと同時に、『気』を柔らかくして網状に編んだものを黄金蜂にぶつけた。
「ブーーーーン」
網に絡めとられた蜂は、悔しそうに羽を震わす。
「どうです師匠。第二段階の『柔竜拳』とやらを身に着けましたよ」
リトネは自慢そうに空中を見上げると、あきれたような顔をしたマザーと目が合った。
「なんというか……そなたは微妙じゃのう。中途半端に頭がいいから、こんなことになるのじゃな」
「へ?」
何のことかわからないという顔をするリトネの耳に、ブーンという羽音が響く。
気がつくと、巣から数千匹の新手が出てきた。
「それで、どうするのじゃ?その網とやらで、全部捕まえるつもりか?」
「えっと……」
リトネが戸惑っていると、全方向から蜂が襲い掛かってくる。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
『黄金蜂の谷』にリトネの絶叫が響き渡るのだった。
「ううっ……ぐすっ……なんでこんなことに……」
昨日以上に刺されたリトネが涙を流す。
「泣くでない。発想としては間違っておらぬ。ただ、基礎をすっ飛ばして応用をしてしまっただけじゃ」
さすがに哀れに思ったマザーが、そういって慰めた。
「応用?」
「そうじゃ。『気』を柔らかくしてコントロールするというのはいいとして、それを使って不用意に攻撃するのがまずいのじゃ。『剛竜拳』でもそうじゃが、『雲亢竜拳』とは基本的に守るための技、つまり専守防衛が基本なのじゃ。お主の先ほどの技は、攻撃したからより多くの蜂に襲われた。もし防御に使っていたら……」
「あっ!」
リトネは突然何かに気づく。
「どうじゃ?明日も修業するか?」
「はい。もう二度と刺されたりしません」
リトネの言葉には、自信が感じられた。
cont_access.php?citi_cont_id=875042061&s
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ