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貴族のお坊ちゃんだけど、世界平和のために勇者のヒロインを奪います 作者:大沢 雅紀
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黄金蜂の谷

次の日、リトネは大陸辺境の地にある『黄金蜂の谷』に連れてこられる。
そこには小山のように大きな蜂の巣があった。
子猫ほどもある蜂の魔物がブーンと旋廻して警戒している。
「あの……師匠。まさかここって……」
「察しのとおり、危険度Cランクモンスターの巣じゃ」
マザーは平然と言い放つ。
「ひいっ!Cランクってもはや個人じゃ討伐不可能で、高レベルの冒険者がパーティを組んで倒す魔物でしょ。それがこんなにいっぱい……」
「つべこべ言うな!」
マザーによって、容赦なく巣の前に突き落とされる。
「これから修業するのは、『雲亢竜拳』の第二段階『柔竜拳』じゃ。アドバイスしてやろう。『柔よく剛を制する』じゃ。『気』の質をコントロールして……こら、聞いておるのか?」
マザーが叱責するが、リトネに話を聞く余裕はない。
数千匹の『黄金蜂ゴールドビー』がいっせいに襲ってきたからである。
「くそっ!『剛竜拳』」
リトネは容赦なく襲ってくる蜂の大群に対して、体の表明に魔力の防御壁を纏って防ぐ。
「は、はあはあ。これでなんとか……いたっ!」
ほっとするリトネだったが、次の瞬間体に鋭い痛みが走って、リトネは悶絶する。
確かに防御気を張ったのに、鋭い針に突き破られてしまったのである。
「愚か者。ただ硬くすればよいというわけではない。『黄金蜂』の針はミスリル銀クラスの硬さを誇り、ドリル状になっておる。『気』の結界といえど、やすやすと貫くのじゃ」
空中で優雅に茶を飲みながら、マザーが説明する。
「だ、だけど、どうすれば!」
「自分で考えろ!」
マザーは冷たく突き放す。
「もうやだ!師匠こそ大魔王だよ!」
泣き喚くリトネだったが、容赦なく全身を刺される。
一日の修業を終えるまでに100箇所以上突き刺されて、リトネは全身が張れあがるのだった。

シャイロック城
リンは帰ってきてからも、ずっとメイド長のネリーに治療魔法を教わっていた。
「はい。いいですよ。傷を治す水の魔法はだいぶ上手になりましたね」
「えへへ……ありがとうございます」
「リンさんには才能がありますね。このままいけば、この国一番の治療魔法の使い手になれるかもしれません」
ネリーがやさしく褒める。
「がんばります!」
リンは元気に笑う。ネリーはまるで妹を見るようなやさしい笑みを浮かべた。
「さて……傷の治療の次は、毒の治療を学ぶべきなのですが、困りましたね。ちょうど都合よく毒に犯された人がいるかどうか……あら?」
ネリーが問うつぶやいたとき、リトネが治療室に来る。
その顔をみて、リンは驚いた。
「お兄ちゃん……どうしたの?お化けみたい」
全身蜂に指されて毒によって膨れ上がっていたので、リトネはひどい有様である。
「マザーの修業だよ……死ぬかとおもった」
リトネは力つきたかのように、ベッドに横たわる。それを見て、ネリーは喜んだ。
「これは都合がよろしいですね。さ、リンさんがんばって毒消しの魔法を学びましょう」
ネリーはリンに状態回復の呪文を教える。
「えっと……水の精霊ウンディーネさん。お兄ちゃんの体から、毒を取り除いてください」
リンの手から水色の光が発せられ、リトネの体を癒した。
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