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天竜のかぶと
「我が弟子、リトネよ。フンの中に沈んでしまったか。哀れな」
外でリトネの『気』を探っていたマザーは、悲しげにため息をつく。
「……よい男だったのに残念じゃのう」
「チューチュー」
長老や小ネズミたちも悲しみを表す。
「……って、勝手に殺すなぁ!」
次の瞬間、フンまみれになったリトネが、なんとか洞窟から這い出してきた。
「ほう。生きておったか」
「何回も『剛竜体』が切れて、諦めかけましたよ……でも、こんな死に方は嫌ですから、その度に気力を振り絞って、死ぬ思いをしてはいあがってきたんですよ!」
さすがのリトネも心底から怒っている。
「ま、まあ怒るでないぞ。そのおかげで、『剛竜体』の有効時間が延びたじゃろう」
マザーはよしよしとリトネの頭をなでる。
「これで勇者の資格を得られましたじゃ!新しい勇者に乾杯!」
「チューチュー!」
長老と小ネズミたちも走り回って喜ぶ。
「勇者なんて糞くらえだ!」
本来勇者がうけるべき試練を成し遂げたが、ちっとも嬉しくないリトネだった。
「では、お待ちかねの勇者の兜と対面といこうかのう」
宝箱を川の側の祭壇に安置する。もちろん宝箱を開ける前に、リトネは川に入って汚れを落としていた。
「この祭壇がここにあるのって、こういうわけだったのか……」
きれいに水浴びをして、衣服を整えて宝箱の前に立つ。
「こほん。では、我が父勇者アルテミックの後継者候補であるリトネよ。兜を受け取るがいい」
マザーがもったいぶって宝箱を開けると、中から光り輝くヘルメットが現れた。
バイクに乗るときに使うようなフルフェイスタイプである。
「ずいぶん未来的なデザインだな……」
「さあ。『天竜の兜』を授けよう。跪くがいい」
マザーの前で跪くリトネは、内心ちょっとウキウキしていた。
(でも、伝説の兜ってかっこいいよな。後で勇者に渡すのがもったいないくらいだ)
マザーの手によって兜がかぶせられる。
「重い!!重い!!!!!」
当然ながら兜は、首の骨が折れそうなくらい重かった。
「それで、どうするのじゃ?」
マザーがいたずらっぽく見守っている。
「重いけど、装備できないってわけじゃないな」
リトネは負け惜しみをするが、実際重すぎてフラフラだった。
「ほう。なんとか耐えておるな。なら、どれだけ強くなったかワラワが見てやろう」
そういって、マザーが拳を構えて相対する。

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