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グーモ村
ロズウィル村をイーグルたちの視察は、最後に領都エレメントの西に出来た新しい村に到着する。
そこでは、全国から集まった蜘蛛族が村を作っていた。
「これは……?」
あまりの人数の多さにリトネも驚く。少し前には10人程度しかいなかったのに、すでに200人を超えていた。
「グーモ村にようこそ!」
村の入り口になっている巨大な木にそうかかれた垂れ幕がかかっている。
「ここが蜘蛛族の村か?」
「ええ。彼らには紡績業を立ちあげてもらおうと思います」
森の前の平野に馬車を置いて、リトネたちは待つ。
しばらくすると、蜘蛛族が木の上からカサコソと降りてきた。
「何やつ!」
騎士たちが不気味な人影に警戒を強める。
彼らを制して、リトネは前に出てきた女の蜘蛛族に笑いかけた。
「アマグーモさん。お久しぶりです。元気でしたか?」
「はい。おかげをもちまして。われらに安住の地を与えてくださったリトネ様に、心からお礼申し上げます」
以前より少し太ったアマグーモは、そういって地面にはいつくばった。
「お主が『天蜘蛛の布』を織ることができる者か?」
リトネの隣にいたイーグルが問いかける。
「はい。ご領主様。これからもご恩を返すため、少しずつ織って献上させていただきたいと思います」
「うむ。我が家は役に立つものなら、差別も迫害もせぬ。安心して暮らすがいい」
そういって、腰に下げた剣を抜き、アマグーモの肩に乗せる。
「アマグーモよ。『天蜘蛛の布』を献上した褒美として、騎士位に叙し、『虫の森』の領有を認める。今後もわれらに忠誠を尽くすがいい!」
「え、え?」
突然の事態に、アマグーモはついていけなくて混乱する。
そんな彼女の耳元で、リトネはささやいた。
(あなたを正式な家臣と認めて、貴族にするということですよ)
(ふえっ!貴族ですか?)
アマグーモが驚くのも無理はない。この世界は人間族が支配しており、獣人たちの地位は低い。よほどの例外でもないかぎり、どんなに出世しても平民どまりである。
なのに、いきなり貴族になるという。
「貴様の織った下着のおかげで、ワシは命を救われた。そのささやかな礼じゃ。受けてくれるかな」
イーグルはにやっと笑いかける。
「は、はい。我が一族は絶対の忠誠を尽くさせていただきます」
アマグーモがそういうと、森は蜘蛛族の歓喜に満たされるのだった。

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