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円盤
「さて……今年の税は二割増しということでしたが、正直、払えますか?」
リトネに正面から見据えられ、村長は動揺する。
「は、はい。足りない分は、なんとかします」
「どうやって?」
「……正直、麦だけでは食べていけませんので、近くの『巨豚の丘』に狩にいって、グレートブヒーを狩ろうと思います」
村長は自分の考えを述べる。
「たしかあそこには、キングブヒーがいますよね。その子供を狩ったら……」
「ええ。村人が犠牲になるでしょう。しかし、この村はリトネ様もご存知のように、元々貧しいのです。子供を何人か奴隷として売っても、たいしたお金になりません。となれば、男たちがカラダを張って狩りで稼ぐしかありません」
村長の言葉を聞きながら、リトネは原作の「キチクゲーム」での場面を思い出していた。
(たしか、キングブヒーの襲来で男たちは殆ど殺されて、ロズウィル村には老人や子供しかのこらなくなるんだよな。彼らは口々に勇者にこうなった元々の原因はシャイロック家の重税が原因だと訴える。それを聞いた勇者がますます貴族や金貸しを嫌うようになる……ここにも破滅的未来の原因が埋まっていたのか)
改めて未来の改変の難しさを思う。
「しかし、あの丘に入って村人に犠牲が出たら、来年麦をつくる人手が足りなくなり、また税を納められなくなる。そうなると、また山に入ってグレートブヒーを狩らなくてはならなくなり、また犠牲が出て……といった悪循環に陥ります」
「わかっております……これも貴方を虐待した我々の罪なのでしょう。たとえキングブヒーの怒りを買い、この村が滅ぼされる運命にあるとしても、今年餓死を避けるためには仕方ありません」
村長の顔にはすでに覚悟が浮かんでいた。
「……苦しいこと、嫌なこともありましたが、それでもこの村は私の故郷です。それが滅びると知って、心穏やかではいられません」
「……では?」
「税の二割増しという裁定は、お爺様の下されたもの。いくら私が貴方方に同情したとしても、覆すことはできません。しかし、あなた方が持っている、あるものを譲っていただければ、村人全員が食べていけるに足るお金を支払ってもらえると思います」
「価値のあるもの?」
村長は首をかしげる。
「とりあえず、村の倉庫を開けてください。お爺様にも頼んでみます」
ある重要なアイテムをゲットするための行動に移るのだった。
村の倉庫
厳しい顔をしたイーグルとリトネ、おびえた顔をした村長がいる。
「税の2割り増しという裁定は、娘を殺した村人への罰なのじゃ。いくらリトネが許すといっても、ワシは絶対に撤回せんぞ」
イーグルはこの村にきてから、ずっと不機嫌だった。
「まあまあ、お爺様。村長さん、開けてください」
「は、はい。ただいま!」
びくびくしながら村長が倉庫の扉を開ける。
中には農作業に使う鍬やクワ、汚れた作業着のようなガラクタが入っていた。
「それで、見せたいものとはなんじゃ?」
「おかしいな……ここにあると思ったんだけど。あ、たぶんこれだ」
リトネは一番奥にしまってある、ムシロがかけられている物体を見つける。
ムシロを取ってみると、くすんだ銀色をした巨大な円盤型の物体が現れた。

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