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貴族のお坊ちゃんだけど、世界平和のために勇者のヒロインを奪います 作者:大沢 雅紀
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ロズウィル村再訪

コロンボ村でナディとゴールドと別れ、リトネたちは時計回りに南の穀倉地帯へと向かう。
ゴロンポ村を出るときは機嫌のよかったイーグルも、自分の直轄地を見回るうちにだんだんと不機嫌になっていった。
「これは、どういったわけじゃ!」
家臣たちの領地は麦も豊作で、新しい作物であふれていたのだが、直轄地は不作で麦しか栽培されてなかった。
「申し訳ありません。私が異世界から召喚した作物は、家臣たちの領地でしか栽培を許しておりません。直轄地では、従来どおりの作物を栽培しておりました」
リトネが頭を下げる。
「なぜ直轄地で新しい麦や農作物を試さなかったのだ?」
「品種改良が進んだ品種とはいえ、異世界の植物です。わが領地で根付くかどうかは不明でした。もしかしたらまったく作物がならないということもありえたので、直轄地は保険の意味で従来どおりの栽培をしました」
「ううむ…そう言われると、そうかもしれん」
イーグルはリトネの考えを認める。
「幸いにも、家臣たちに試させたところ、異世界の作物はちゃんとできあがりました。家臣に命じて、今年収穫した農作物の中でよい種籾を提供させましょう。来年はそれを播けば、直轄地でも豊作が約束されるでしょう」
「なるほど……」
イーグルは大胆な改革を行うと同時に、慎重さも併せ持つリトネに改めて感心した。

リトネは故郷であるロズウィル村に到着する。
土下座して出迎える村人たちの顔には、貧困による疲れと苦しみが浮かんでいた。
「ご領主様……リトネ様……ようこそいらっしゃいました……」
出迎えたのは、新しい村長である。彼もげっそりと痩せていた。
「おじさん……この村の有様は?」
リトネたちについてきたリンが、寂れた村の様子をみて驚く。新しい村長は前の村長の弟だった。
「リンちゃんか……あいつのせいで今年の税が二割り増しになったんで、村民たちが怒ってね。いまじゃ村外れで一人で生活しているよ」
村長は腹ただしげに言う。
「お兄ちゃん。会ってきていい?」
「……ああ。いいよ」
この村に来たら、リンに仕送りをねだっている彼に一言言ってやろうと思っていたリトネだったが、村八分にされていると聞いて、さすがに哀れになった。
「それじゃ、いってくる!」
今までためたお金が入った包みを持って、リンは駆け出していく。
それを見送り、リトネは新しい村長に向き直った。
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