ナイル株式会社 Webコンサルティング事業部 アナリスト 伊佐敷一裕さん
Webサービスにおけるデータ分析の重要性とは―
Webアナリストとはどんな仕事ですか?
Webアナリストになる前は、Webコンサルタントでした。Webコンサルタント時代は、SEOのコンサルティングをしていましたが、今はSEOに留まらず、領域を広げて様々な分析をしています。
Webの世界では、訪問してくださるお客様の顔が基本的には見えません。サイトを訪れたユーザーがどんな人で、どこから何人やって来て、サイト内のどのページを見て、何をしているか、というようなことは、データを分析しない限り全く分からないのです。それだけでなく、Webサイトが上手く機能しているかどうかも分かりにくいです。
そこで、お客様を知るためにデータ分析が必要となります。ただ多くの人を集客すれば良いという時代は終わりした。ニーズに合ったお客様を集めて、そのお客様のニーズを叶えるために、データを活用する必要があります。
明日の利益に繋がる、データ分析
もともとデータ分析に興味があったのですか?
そうですね。大学では地球惑星科学を専攻し、研究室でデータを分析していました。宇宙を飛んでいる探査機のデータを分析して、考察をするアプローチでしたが、今の仕事と共通するところがあります。アプローチの対象が自然科学から、Webマーケティングや人間心理に変わったということです。子供の頃から宇宙に興味があって大学は地球科学を専攻しましたが、正直に言うと宇宙はスケールが大きすぎて、人間に与える影響は少ないです。100年後の人類には影響を与えるかもしれませんが、明日の利益にはなりません。
もっと身近に人の役に立つことをしたくて、ビジネスの世界に興味を持ちました。その中でも、なるべく自由にやれそうな会社でいろいろ挑戦したいと思っていました。今の仕事は沢山のデータを扱い、挑戦することも多いのでやりがいを感じています。
ストーリーを想像することで、無機質なデータから様々な情報を読み取ることが可能になる
データを分析する上で、重要なポイントはありますか。
ただデータを見ていても駄目です。Webマーケティングや、人間心理も考慮しないといけません。データの裏側にどんなユーザーがいて、どんなことを考えているのかを想像しながらデータを見るのが重要だと思います。
私はデータを見るより前に、サイトのビジネス目的は何か、サイトにやってくるユーザーがどんな人か、ユーザーはこのサイトで何をしたいのかを想像します。ユーザーの一連の流れをストーリーにして考えるのです。その後、それぞれのストーリーに対応するデータが何かを考え、検索キーワードやランディングページ、コンバージョン率などのデータと照らし合わせます。ストーリーを当てはめていくことで、単なる無機質だったデータから、ストーリーが見えてきます。すると、実際のWebサイトとの齟齬が発見でき、改善案が見えてきます。
実際にユーザーと対面してインタビューをすることもあります。ユーザーテストと呼んでいますが、ユーザーにWebサイトを使ってもらって、その様子を観察してデータを取っていきます。定量的ではなく定性的な、より心理的なところに近いデータを取ります。定量的なデータだけでなく、人の心理のような定性的なデータも合わせて考えることが重要です。
小さな変化を積み重ね、大きな成果を生み出す
Webアナリストの仕事のやりがいは何ですか。
アナリストと言っても、ずっとパソコンに向かって分析をしていたいのではありません。実際にクライアントを訪問し、「こんな発見がありました。こうしましょう!」と提案して改善していくアナリストの立場からのコンサルティング業務に非常にやりがいを感じています。
クライアントのサイトのデータを見ていると、ユーザー訪問者が多いのに、ほとんどのユーザーが直帰してしまうページを見つけることがあります。そこに、なぜ直帰が多いのか仮説を持ち込み、サイトの改善を行ったら、実際にデータに変化が現れます。ユーザー体験の向上は、クライアントのビジネス成功につながりますし、間接的ですが社会貢献に繋がると思っています。変化したデータを見ると、今の仕事をやっていて良かったと思いますね。
データ分析の強みを活かし、さらなる付加価値を目指す
今後の目標を教えてください。
今よりもクライアントの成果を上げて、クライアントの役に立ちたいです。そのためには、目の前のクライアントの依頼に一生懸命になってお応えするのと同時に、新しいチャレンジをし、色んな分野の勉強をして、先人たちの知恵を取り入れながら成長し続けることが必要だと感じています。
この業界で、データに強いのは強みになると感じています。アナリスト、マーケター、コンサルタント、この3つを同時に兼ね備えた人間を目指しています