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高橋乗宣
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高橋乗宣エコノミスト

1940年広島生まれ。崇徳学園高から東京教育大(現・筑波大)に進学。1970年、同大大学院博士課程を修了。大学講師を経て、73年に三菱総合研究所に入社。主席研究員、参与、研究理事など景気予測チームの主査を長く務める。バブル崩壊後の長期デフレを的確に言い当てるなど、景気予測の実績は多数。三菱総研顧問となった2000年より明海大学大学院教授。01年から崇徳学園理事長。05年から10年まで相愛大学学長を務めた。

英EU離脱 ただ傍観の政権では歴史の激流にのみ込まれる

 もっぱらの課題は国際協調なのか、金融市場の安定化か。救済すべきは英国で事業を行う1000を超す日本企業か、悪影響を被る国内の中小企業なのか。今なお優先事項は定まらず、安倍首相が緊急会議を繰り返しても、何も言っていないに等しい日々が続く。

 G7各国の財務相・中央銀行総裁が「流動性供給のための手段を用いる用意がある」との声明を発表したのを受け、麻生財務相と日銀の黒田総裁は共同談話を公表。「為替市場の動向をこれまで以上に注視し、必要に応じて対応を行う」と為替介入をにおわせ、より踏み込んでみせたが、円高進行の猛烈な勢いは日本の単独介入ではビクともしない。円高に悩む日本のためだけにG7の協調介入を期待するのもムリな話だ。円高・株安の流れは当面、止まらないだろう。

 それにしても、欧州の外れの小さな島国の民衆の選択が、これだけ世界を動かすとは驚きだ。EU残留派が多数を占めたスコットランドでは独立運動が再燃し、大英帝国以前の姿に逆戻りする機運も高まりつつある。さらに視野を広げれば、英国と経済面で急接近する中国はEU離脱を大歓迎だろうし、ロシアにとっても欧州が一枚岩じゃない方が好都合だ。

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