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【プロ野球】

「1番投手」大谷、プレーボールいきなり初回初球弾 しかもゼロ封

2016年7月4日 紙面から

ソフトバンク−日本ハム 1回、先頭打者本塁打を放ちナインに迎えられる日本ハム・大谷=ヤフオクドームで

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◇日本ハム2−0ソフトバンク

 日本ハムが9年ぶりの10連勝で今季初の2位浮上。大谷が8イニング無失点で10三振を奪い、7連勝となる8勝目。1回に先頭打者の大谷の10号ソロで先制し、6回に1点を加えた。ソフトバンクは2試合連続の零敗で今季初の3連戦3連敗。

     ◇

 野球漫画でもなかなかない、出来過ぎたシナリオだ。日本ハム・大谷が自身初の「1番・投手」でスタメン出場し開始直後、一振りで新たな歴史を刻んだ。中田の初球、真ん中付近への124キロスライダーを強振すると、打球は鮮やかな放物線を描いて右中間席に着弾。二刀流は大歓声が沸き上がる中、表情一つ変えず、ゆっくりとダイヤモンドを回った。

 自己最多に並ぶ10号ソロ。投手の先頭打者アーチは、BIS(プロ野球記録)の詳細な記録が残る1960年以降では初の快挙だ。しかも通算28本塁打のうち、投手として出場している間の一発はこれが初めて。リアル中のリアル二刀流一撃を、おそらく歴史上にない快挙で成し遂げた「リアル怪物」は「打った瞬間、『行くな』と思いました。なるべく疲れないようにゆっくり回りました」。大事な初回の投球を考え、普段よりも速度を緩めてダイヤモンドを一周する余裕もあった。

 そもそも「1番・投手」での出場は、過去に71年のヤクルト・外山義明の例があるぐらいで異例中の異例だ。首位を走るソフトバンク撃破に懸けていた栗山監督は思案の末、「一番(状態の)いいバッターが、一番多く打席に立てばいい」と決断。前日の練習中に1番起用を告げた。「すごくびっくりしました」と大谷。ただそれでひるむような男じゃない。最高の結果で応えて見せた。

 本塁打を放った後、結果的にベンチ前でキャッチボールをする時間が取れた。1回2死一、二塁のピンチを無失点で乗り切ると、最速161キロ直球に110キロ台のカーブなど変化球を織り交ぜて、8イニングを5安打10奪三振無失点の力投だ。これで30イニング連続無失点。リアル二刀流で6連勝だ。「(1番は)最初から絶対に先頭で回ってくるので、やりにくさはなかった」。残した言葉がまた頼もしい。

 チームは2007年以来9年ぶりの10連勝。栗山監督は「度肝を抜く、そういう空気になった意味のあるホームラン。プロ野球のロマンを感じた。翔平が頑張った」と珍しく褒めちぎった。最大11ゲームあった首位との差が6・5ゲームに縮まり、2位浮上。「ここで3つ勝ったのは、うちからしたら大きい」。投打に勢いを増す大谷の目には、鷹の背中がしっかりと見えている。 (水足丈夫)

 

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