闇金相談をうけていて最近多い問合せがあります。銀行口座に関するご相談です。内容はバラバラなのですが一定の規則性が出てきているので闇金側が行っている悪事が透けて見えてきました。
業者の発言についてまとめてみました
・あなたの銀行口座を貸してほしい
・携帯も買えない、保証人もいないんなら銀行口座を売ってくれ
・返済履歴の作りこみに対してあなたの口座情報を教えてもらいたい。履歴が終わったら口座は解約してもらっても問題無い。
・あなたの銀行口座をチェックさせてほしいのでカードを送ってください
・5万円すぐに振り込むので新しい銀行口座を作ってください
・勤務先への嫌がらせを止めてほしければ銀行口座をよこせ
どれも犯罪を助長するような内容で違法発言ばかりですが、被害者さんの心理をうまく突いてくるため、のせられて被害に遭ってしまう方が多くなっております。
どのような理由があるにせよ銀行口座を他人に渡すことは禁じられております。
そしてその代償は思っているよりもとても重いのです。
銀行口座凍結情報は金融機関に通達される問題です
口座の売買、譲渡が禁じられていることを知っていてもその代償としてどのようなことが起こるのかを知っている方は意外に少ないのでここで説明していこうと思います。
1.口座凍結情報は各行に通達され情報共有されます
2.凍結された口座を自分自身で解除するのは実質的には困難である
3.仮に凍結が解除されても新規の口座を作れる可能性は無いに等しい
1.口座凍結情報は各行に通達され情報共有されます
警察主導、弁護士主導など口座凍結の手段はいくつかありますが犯罪にかかわっている可能性があるため凍結情報は各銀行に通達されることになります。何よりも犯罪に使われることを避けるための措置になりますのでかなり強い通達になります。
この通達により1つの銀行が犯罪に使われた可能性があると判断し凍結行為が行われるとその情報は時間を経て他行へも共有され最終的には名義人が持っている全ての銀行口座が凍結になります。
こうした流れを知らない方がとても多いのが現実なのです。
銀行口座は銀行ごとで考えるのはなく、名義人単位で考えるべき問題なのです。つまり、1人の人が持てる口座情報は銀行のカードの枚数ではなく、1つなのです。
公共料金の引き落とし口座、家賃などの引き落とし口座、給与の振込口座など使い分けている場合でも1つの口座が凍結されると全ての口座が凍結されます。知らない間に引き落としがかからず督促郵便が届くなどの問題が発生してきているようです。
闇金が、
「新しい口座を用意してもらえば問題ありません。仮に何かあっても既存の口座に影響はありませんから大丈夫ですよ」
と言っているようですがそんなことは無いのです。1つの口座が止まれば全ての口座が止まり名義人は銀行口座を持つことができなくなるのです。
2.凍結された口座を自分自身で解除するのは実質的には困難である
振り込め詐欺救済法により自分の口座が犯罪行為に使われたとしてそれを救済するようなシステムが確立されてきております。
預金保険機構
振り込め詐欺救済法に基づく公告トップページ
このような救済措置が取られるようになってので、被害者の問題は回避されたかに見えました。
ところがこの問題はそんなに簡単ではありませんでした。実際に個人の方が銀行に問い合わせたり警察に問い合わせたりしても口座凍結解除にならないケースが続出しているのです。
この件に関してニュース記事がありますので引用します
警察関係者は「事案にもよるが、通帳とキャッシュカードを持参して、しっかり警察で経緯を説明すれば解除はできるはずだ」と首をかしげる。一方で「『電話ではだめですか』という人もいる。自分も何かの罪に問われるのではないか、という意識が働くのかもしれない」とも話す。
引用元:
www.sankei.com
刑事事件の捜査であれば捜査上の問題から簡単に解除されることはありません。また金融庁に申し入れをしたとしても解除を行うのは銀行であり、その銀行にはそれぞれ独自の犯罪抑止マニュアルが存在するわけです。その内規に照らし合わせて不適となれば解除はされません。
銀行や警察からすれば銀行口座凍結の本人がなにを言っても説得力に欠けるというのが正直なところではないでしょうか。
「何も悪いことをしていなければそもそも口座が凍結されることはないでしょう、そのような可能性を持っている人物にサービスを提供するのは難しい」
と銀行側が考えることだってあると言うことです。
理論と現実は全く異なっているのです。ネットで簡単に探せるような記事を鵜呑みにして軽はずみな行動にでることは大変に危険であるし、書かれている情報の正確性を検証せずに行動する事もやはり危険であると言えるのです。
3.仮に凍結が解除されても新規の口座を作れる可能性は無いに等しい
あらゆる方法を使って銀行口座の凍結を解除したとしましょう。これでまた元の生活に戻れると安心するのは少し早計です。
ある相談者さんからのご報告では、口座凍結を解除するといっても凍結された原因となった口座は解除するのが難しく同名義人の他の銀行での凍結を解除するというのが銀行口座凍結の解除の本質だとのことでした。
また、口座凍結履歴が残りますから新しく銀行口座を作ることも難しいようなのです。相談者さんは発端となった銀行で作ることはできないだろうと考え、それ以外の凍結解除した銀行で新しく口座申請をしようとしたのですが、結果的に作ることはできなかったそうです。
銀行は民間ですから、サービスを提供しない権利もまた有していると言う事なのです。
理由はどうあれ一度、口座を凍結されるような事態になった人物にサービスを提供するのはリスクがあるという判断からだと思われます。
冒頭にも申し上げましたが銀行口座は他人に譲渡、貸与する事ができない商品です。従って例え両親や子供、親戚であってもその口座を使うことは認められないのです。
銀行口座の凍結は解除できるのか?
ケースに依存するため絶対に可能ですとは言えませんが、解除することはできると言えます。当事者である個人でも手続きはできますが、手続きすることと解除されることは同義ではありません。
色々な意見があり「お金をかけなくてもできる!」と言う方もいらっしゃると思います。
当サイトでもその意見は尊重します。
しかし、
出来る
と
出来た
では意味合いが違うのです。
半ば八つ当たり的に批判をしてくる方がいましたのでその方に問うてみました。
「あなたはご自身の銀行口座が凍結された経験をお持ちなのですか?」
するとその方はこう答えました。
「私自身はそのような犯罪行為を行ったことは無いので凍結されたことは無い。そのような発言は論理のすり替えだ」
と。残念でなりません。ご自身で経験されたことで文句を言うのであればまだしも、又聞きの情報をさも自分で見つけたかのようにひけらかすとは当事者い持ちも知らず単なる受け売り知識を自慢したいだけの野次馬以外の何物でもありません。当サイトは人生相談の場ではありませんし、ストレス発散の電話でもありませんましてや知識を披露する場でも無いのです。
話を戻すと、銀行口座のように生活に密着している商品の場合、使えない状態が1日でも長くなることは致命的とも言える事態になることと隣り合わせといっても言い過ぎではないと言えます。
たとえお金がかかったとしても銀行口座の凍結解除手続きには法律の専門家にお願いすることがベストであると当サイトでは考えております。
ただし、こうした問題に明るい、知識を持った弁護士事務所という限定条件が付きます。
闇金問題の取り扱いをしている弁護士事務所でも銀行口座凍結解除まで知識があるところは本当に少ないと言えます。むしろ、これからこの問題について真剣に取り組むといった事務所がほとんどなのでは無いでしょうか。
当サイトでも昨年秋口からこの問題について調べており情報を集め精査、分析している真っ最中です。ブログ内で銀行口座凍結に関する記事をアップしたことで一気に相談が増え闇金問題から派生しているこの問題の根の深さに驚きを隠せませんでした。
現在では、取るべき対策なども分かってきましたのでアドバイスと言えるところまでこぎつけることができました。
この問題は今年の闇金を考える上で切れない問題になると思われますので継続的に情報収集、提供を心掛けていきたいと思います。
突然、銀行口座を凍結されてしまい銀行などから連絡が入って状況が呑みこめていない方や次々と口座が凍結している最中の方はご相談ください