こんばんは、東京が30度を越してしまいました。今日も漫画を描く気力が起きません、ゴクツブシです。
今回のエントリは日本語について書かせていただきます。
日本語を勉強している方にオススメですが、日本語を母語とする方も、「そういうことだったのか」と納得していただければと思います。
役に立ちはしませんが、無駄な知識でも獲得すると嬉しいものです。高度な動物だな人間は。
学生が趣味で書いたもので、学術的なものではありません。めちゃくちゃ恣意的なのでその辺は注意してください。
その上で、何か間違いや不備があれば、是非指摘してください。
「君が好き」と「君を好き」の違いは
結論から言うと、距離感が違います。
「君が好き」の方が切迫度がより高く、「君を好き」のほうは冷静な響きになるという違いです。
「好き」の主語は?
「好き」の品詞は、形容動詞です。
「君が好き」の主語は、「君」です。
じゃあ、「君を好き」の主語は、何なのか。
文法的に言えば、主語はありません。というか、「君を好き」という表現自体、文法的には間違いだとも言えます。
「空が綺麗」とは言っても、「空を綺麗」とは、言いませんよね。
年配の方には、「君を好き」という表現に違和感を覚える方も多いようです。
なぜ「が」と「を」で距離が違うのか
前項の主語の話がヒントです。
「君」にスポットライトが当たるかどうか、が距離感の違いを生んでいます。
「君が好き」の場合、明らかに主語は「君」です。
この場合、「君」という人物自体に「好き」になってしまう性質が宿されているという感じが強くなります。
「君を好き」の場合、主語は明確ではありません。
なんでもいいので、とりあえず「私」とします。
ここでは、「私が君を好きだと思う」の「思う」感じがが強調されます。
「君」自体に「好き」になってしまう性質が宿されているとは、それほど感じません。
まとめると、
「が」の場合は、「君」と「好き」の結びつきが非常に強くなり(つまり、距離が近くなる)
「を」の場合は、「君」と「好き」の結びつきが弱まる(つまり、距離が遠くなる)、ということです。
どう使い分けるか
「君が好き」と言ったほうが距離が近くなる=切迫度が高まることは上述しました。
しかし、あえて「君を好き」と表現するほうが、ニュアンスをより伝えられる場合もあります。
例1 吉田拓郎の「高円寺」
吉田拓郎さんの「高円寺」という曲があります。
歌詞を一部引用します。
君を好きだなんて言ったりすると
笑われそうな気がして
とても口に出すのが怖かったけれど
吉田拓郎さんがそこまで意識していたかは分かりませんが、どうでしょう。
「君が好き」より「君を好き」の方が、距離感がある分、一歩踏み出せない臆病な青年像が浮き上がってくる感じがします。
公式でアップロードされた音源は見つからないのでYouTube等のリンクは張りません。
(気になる方は検索すればすぐ出てくるのでよろしくお願いします)
例2 Theピーズの「君は僕を好きかい」
Theピーズという素晴らしいバンドがあります、素晴らしいですね。
存在に救われる数少ないバンドです。どうもありがとうございます。
僕はいつも無理してる
僕はいつも無理してる
君のことは好きなのさ
君は僕を好きかい
この歌詞でも、「僕」と「好き」の間に距離があることで、なんとも言えないくたびれ感が出ていると思います。
「君は僕が好きかい」だったら、どうでしょう。
なんとなく、「コイツ、自分に自信あるじゃねーか笑」という気持ちになりませんか。
とりあえず私はなるし、「もうお前なんか知らん!うわーん(泣)」って感じですね。裏切られた気持ちになる。
さっきと同じ理由で音源のURLは張りませんが検索すればすぐ出てきます。
是非聴きましょう、ああ~~~良い~~~。
こんなとこで言及するまでもなく素晴らしいバンドですが、公式の別曲を載せます。
「そもそも主語とは」「好きの品詞は本当に形容動詞か」など、議論点はいくつかありますが、この辺で。
あとこのまま漫画を描かないとブログ名詐欺なので、さすがに明日は描きます。
逆ナン漫画の続編を更新予定です。
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