Cookie's Bustle 〜謎のボンボワールド〜
ホントは五才の普通の女の子だよ。いつもウサギの片耳を無造作に持ってるらし〜よ。 |
桃源紀行も販売中止らし〜よ。きっとだからレアアイテムなんだね〜。 |
ライト博士は終わりのほうでは不自然なくらいシリアスキャラに変わるらし〜よ。 |
お弁当はすっぱい味がするらし〜よ。げげ〜。 |
クッキーは「ぷっくりしててお肌がつべつべしてる」らし〜よ。 |
時々パラシュートが故障したりしてあっさり死んじゃうらし〜よ。ひ〜ん。 |
霊界ラジオでは大人向けの番組もやってるらし〜よ。 |
無理してタバコを吸うと死んじゃうらし〜よ。う〜ん・・・。 |
おばけの辞典を持ってると襲われたりもするらし〜よ。 |
ディスコでダンスを踊ったり、クリアに関係無いイベントもたくさんあるらし〜よ。 |
壁紙とかデスクトップアクセサリーのおまけも見つかるらし〜よ。 |
金メダルを獲ってからお話が無茶な展開をするらし〜よ。 |
「クッキーズ・バッスル〜謎のボンボワールド〜」は自らをクマの女の子と思い込んではいるが実はどこにでもいる普通の5歳の少女、クッキー・ブレアを操り数々の謎解きやイベントを繰り広げていく冒険アドベンチャーゲームである。
まずこのゲームは、純国産のゲームとしては異例の2年半にも及ぶ製作日数と採算度外視とも言われた製作者のこだわりが随所に光る稀有な作品で、その作風もかつて類を見ないほど斬新でポップかつクールなセンスに溢れている。一見海外にそのまま出しても違和感が無いのではと思われるほどグローバルな感性を感じさせるのだが、実は当初から海外での展開も考えて製作を進められていたとのことで、実際海外でも販売されていたようだ。評判の方は定かではないが。
このゲームの魅力は何と言ってもその捻りの効いた世界観にあると言えよう。グラフィックから受けるカラフルでキュートな印象とは裏腹に、毒のあるユーモアと屈折した登場人物が織り成す世界はむしろ大人向きで、そのテーマも往々にして思索的な要素をはらんでいる。しかしそれは決してユーザーを限定するような極端なたぐいのものでは無く、大人から子供まで幅広い層を視野に入れて作られており、安心して遊べるレベルのものだ。
その世界観を支えているのが繊細なCGとポップな色彩感覚で彩られたグラフィックで、アニメーションも基本的には俯瞰で遠目ながら一部のシーンではかなり丁寧に作られており、随所にこだわりを感じさせる。音楽ももともと製作者がミュージシャン出身ということもあり並々ならぬこだわりを見せており、大半を生演奏でまかなわれたBGMの数々は非常に水準が高い。
また、台詞の楽しさもさることながら声優も実力派を揃え違和感無くマッチしている。世界から浮いたり、間が悪かったりということにはかなり気を使っていると察せられ、この為に実にわざわざ専用の録音用のスタジオまで作ったとも聞いている。(ちなみにクッキーの声の主は正体不明なのだが、案外スタッフの一人ではないかと私は睨んでいるのだが?)
これらグラフィック・音楽を含むサウンド・言葉のリズムなども含んだ台詞が三位一体となってバランスを保ってこの世界観を支えていると言えよう。
ただし、技術的には解像度640×480固定でフルスクリーンさえ対応しておらずサウンドもハードに対応したものではなく、オプション類での設定も全く無い為やはり不満が残る。これはおそらく意図的に低年齢層のユーザーを考慮して徹底的に簡素化した結果なのかもしれないが、良くできたゲームだけにこちらにももっと欲を出して欲しかったと思う。さすがにいまどきゲームをやる度にデスクトップの方の解像度を合わせる人がどれほどいるか疑問で、せめてフルスクリーンの機能くらいは必須だろう。
内容は前述のようにアイテムを集めたり様々な人物と会話を重ねて謎を解きながら進めていくアドベンチャーなのだが、そのなかにメダルを獲得するためのミニゲームが挟まる。
加えてこのゲームではクッキーの体調管理が重要で、怠ると競技での能力が落ちるばかりでなく、限度を超えると死んでしまいゲームオーバーとなってしまうので常に気を配る必要がある。最初は面倒に感じるがゲームに変化を付けているのは確かで、結果効果を上げていると思う。
謎解きは突拍子もないものではないが、必ずしも必然性のあるものではないことや、決まった段階を踏む必要のあるケースがあったり、アイテムが見つけにくいところにあったりで、まったくヒント無しではやや難しいかもしれない。それでも重要な部分に関しては実は注意を喚起してあったり、登場人物との会話の中にヒントが隠されてあったりするのだが。ただ、このヒントもうっかり聞き逃してしまうとノートやファイルなどの機能が無いためそれっきりになってしまう恐れもあるのだ。特に終盤はメモを取りながらプレイする必要があるかも。
このことはひとつにはセーブが同一のスロットしか使えず、複数残しておくことができないシステム的な問題とも関連していると思う。またその為、エンディングは私が確認した限りではグッドとバッドの2種類あるようなのだが、両方を見ようとする場合結局最初からやりなおさなければならなくなる。確かに分岐点はあるのだが、その先をノーセーブで済ませるわけにはとてもいかないので。しかしながら攻略に関してはもし困ったときにはBARE×2リンクに攻略があるのでそちらを参考にしていただけば大丈夫だろう。
ゲームプレイは原則的に一部の競技種目を除いてマウスのみ、しかも1ボタンのみの操作で片手で気軽にできる。この辺はマック用との関連があるのかもしれないが誰でもすぐに馴染めるという利点もある。システムもシンプルでチュートリアルをやっておけば迷うことはないだろう。ただ、競技に関してはある程度コツが必要で一筋縄ではいかないようになっており、場合によってはストレスかもしれない。許容範囲だとは思うが、個人的にはスカイダイビングでのダブルクリックがタイミングが合わないのか仕様なのか反応が悪くうまくいかず手を焼いた。
プレイ時間は単にクリアするだけならば3〜4時間もあれば可能だろう。ただしこのゲームはクリアとは無関係なイベントなどもなかなか楽しく、まさにそういった事に傾注して作られてあるのでそれらを飛ばしてしまってはあまりに味気ない。よって、ゆっくりまったりとこの世界をさまようのが本来の楽しみ方だろう。
エンディングはいささかありがちなものではあるが、これ以外にはありえないだろうし納得できるものだろう。なにより実に丁寧に作られてあると感じた。全体に長い年月をかけて大事に育まれた感のあるゲームである。とにかく作りたかったから作った、そんな作品だろう。作者はできれば続編も作りたいという意向があったようだが、営業的には難しい現実的な側面もあろう。だがこういった姿勢で作られるゲームは今後も応援したいものである。
なお、現在は販売が打ち切られた為店頭にある一部の売れ残り以外は入手困難と思われる。したがって見かけるとしたら主に中古になるだろう。パッケージには中古販売禁止の旨記載もあるが、容認して頂きたいものである。それで作品が後々まで楽しんでもらえて愛されるのであれば本望ではなかろうか?