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ロシアから見た「正義」 “反逆者”プーチンの挑戦

中国は戦前の日本と同じ過ちを犯し自滅に向かっている

北野幸伯 [国際関係アナリスト]
【第25回】 2016年7月4日
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参議院選挙や英国のEU離脱の陰に隠れて目立たないが、中国は日本への挑発を続けている。挑発を年々エスカレートさせている中国。尖閣をめぐって日中が戦争になる可能性は、強まっている。しかし大局を見れば、中国は戦前の日本と同じ過ちを犯し、自滅に向かっている。

挑発の動きを強める中国
真の狙いは何か?

 中国軍艦は6月9日、尖閣周辺の接続水域に入った。そして、6月15日には、鹿児島県・口永良部島周辺の領海に入っている。この2つの挑発について、順番に見てみることにしよう。まず、中国軍艦が6月9日、尖閣周辺の接続水域に入った件について、産経新聞6月10日から。

<防衛省などによると、9日午前0時50分ごろ、中国海軍のジャンカイI級フリゲート艦1隻が久場島北東の接続水域に入ったのを海上自衛隊護衛艦「せとぎり」が確認。フリゲート艦は約2時間20分にわたって航行し、午前3時10分ごろ、大正島北北西から接続水域を離れた。>

 これは、何を意味するのだろうか?中国は、年々挑発のレベルをエスカレートさせている。その行動には一貫性があり、戦略的な動きと見るべきだろう。

日本のみならず、米国やインドも挑発している中国は、国際社会で孤立の道を歩んでいる Photo:REUTERS/AFLO

 ここで少し、中国の動きについて振り返ってみよう。

 2008年、米国発「100年に1度の大不況」がはじまった。09年、世界中の多くの人が、「米国の時代は終わり、中国の時代が来た」と思った(09年、米国のGDP成長率はマイナス2.78%だったが、中国はプラス9.2%だった。さらに、10年10.61%、11年9.46%成長。中国のGDPは日本を抜き、世界2位に浮上した)。

 10年9月、「尖閣中国漁船衝突事件」が起こる。どう見ても中国が悪いのだが、同国は日本に「レアアース禁輸」など過酷な制裁を課し、世界を驚かせた。この時期から、中国政府の高官たちは、「尖閣は、わが国『固有の領土』であり、『核心的利益』である」と世界中で公言しはじめた。

 12年9月、日本政府、「尖閣国有化」を決定。これで、日中関係は「戦後最悪」になってしまう。以後、中国は、「領海侵犯」「領空侵犯」を繰り返すようになっていく。12年11月、中国は、ロシア、韓国に「反日統一共同戦線」の創設を提案。中国の代表団はモスクワで、「日本には尖閣ばかりか、沖縄の領有権もない」と断言した(「反日統一共同戦線」戦略の詳細はこちらを参照)。

 13年11月、中国は尖閣も含む「防空識別圏」を設定。このように、中国は、10年以降、特に12年9月の「尖閣国有化」以降、徐々に挑発をエスカレートさせている。「反日統一共同戦線」戦略で宣言されているように、中国は「日本には尖閣の領有権も沖縄の領有権もない」とはっきり主張している。その上で、挑発行動を徐々に強めているのだから、「まず尖閣を、その後沖縄を奪うことを意図している」と考えるのが自然だ。

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北野幸伯 [国際関係アナリスト]

きたの・よしのり/1970年長野県生まれ。モスクワ在住24年の国際関係アナリスト、作家。その独特の分析手法により、数々の予測を的中させている。1996年、日本人で初めて、ソ連時代「外交官・KGBエージェント養成所」と呼ばれたロシア外務省付属「モスクワ国際関係大学」(MGIMO)を卒業(政治学修士)。1999年創刊のメールマガジン「ロシア政治経済ジャーナル」は現在読者数3万6000人。ロシア関係で日本一の配信部数を誇る。主な著書に「隷属国家日本の岐路」(ダイヤモンド社)、「プーチン最後の聖戦」、「日本自立のためのプーチン最強講義」(共に集英社インターナショナル)など。


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