消費者庁移転 きょうから2回目の実証実験

政府が検討している消費者庁の徳島県への移転を巡り、一部の職員が現地で勤務して移転した場合の課題を検証する2回目の実証実験が、4日からおよそ1か月間、行われます。実験には前回の4倍に当たる職員およそ40人が参加し、消費者庁は幅広い業務について検証を行いたいとしています。
消費者庁は、誘致の希望がある徳島県への移転を検討する政府の方針を受け、ことし3月、板東長官を含む職員10人が参加して、徳島県神山町などで4日間の実証実験を行いました。
これに続く2回目の実証実験が、4日から今月29日まで行われ、長官をはじめ各課の課長などおよそ40人が徳島県庁を拠点に具体的な業務を行います。
前回の検証では、東京の職員などとやり取りする際に使われたテレビ会議システムなどの通信の安定性や、機密性の高い情報の取り扱いなどが課題として浮かんだということです。
このため今回は、専用の通信システムを導入して対応することにしていて、消費者庁は、機密性の高い情報のやり取りも含め、前回よりも幅広い業務について検証を行いたいとしています。
消費者庁の移転について、政府はことし3月に決定した「基本方針」の中で、来月末までに結論を得ることを目指すとしています。

消費者庁移転 議論の経緯

政府は去年3月、地方創生の実現に向けて、いわゆる「東京一極集中」を是正するため、国の機関の地方への移転を積極的に進める方針を掲げ、誘致を希望する道府県を募集しました。
この背景には、東京・神奈川・埼玉・千葉の「東京圏」への人口流入が20年連続で続いていることがあります。
政府の募集に対し、去年8月までに42の道府県から69の機関について誘致の希望が出され、消費者庁については、徳島県が誘致を希望していました。
希望理由として、徳島県は、食品偽装を防ぐため特産のわかめの認証制度を取り入れるなど消費者行政で積極的な取り組みを行っていることや、場所を問わない働き方=「テレワーク」などの実現に向けて、通信環境の整備に取り組んでいることを挙げています。
政府は誘致の希望を踏まえて、ことし3月、国の機関を地方に移転するための「基本方針」を決定しました。
この中で、文化庁を数年以内に京都府に移転させることを決めるとともに、消費者庁については一部の職員が現地で業務を行う実証実験などを行ったうえで、来月末までに結論を得ることを目指すとされました。
消費者庁は、基本方針の決定に先立って4日間の実証実験を行っていましたが、「基本方針」の決定を受け、期間と規模を拡大する形で今回、改めて実証実験を進めることになりました。

前回の実証実験の課題 今回のポイント

ことし3月に行われた実証実験では、東京にいる職員とテレビ会議システムなどを通じてやり取りする際の通信の安定性や機密情報の取り扱いが、課題として浮かびました。
特に、インターネット回線を使って画面を通して東京にいる職員などとやり取りした際に、音声が途切れる場面がたびたびみられるなど、通信の安定性が課題として浮かびました。
また、東京とのやり取りの中で情報流出が起きないよう、徳島では企業に対する行政処分に関する情報など機密性の高い情報については、取り扱わない範囲で業務が行われ、機密情報の取り扱いが課題となっていました。
今回の実証実験では、機密性の確保を念頭に専用のシステムを導入し、機密性の高い情報も取り扱う予定で、消費者庁がふだん行っている業務を徳島でどこまでできるのかが検証のポイントとなります。
一方で、ほかの省庁にテレビ会議システムなどを設置することはできないため、移転した場合に他省庁とどのように連携するかという課題に対しては、検証が限定的にならざるをえないということです。