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 この夏は、6年ぶりに政府による7~9月の「節電要請」のない夏になる。東京電力福島第一原発事故後、企業と家庭の節電の取り組みが着々と進んだことが大きい。再生可能エネルギーや異業種による新電力の普及も進む。稼働する原発は全国で2基のみだが、猛暑になっても電力需給は十分な余裕がある見込みだ。

 政府の見通しでは、沖縄を除く大手電力9社の今夏の供給余力はピーク時でも9・1%あり、必要とされる3%を大きく上回る。このため、東日本大震災後に続けてきた節電要請(13年以降は数値目標なし)の見送りを5月に決めた。

 猛暑の予測があっても余裕を見込むのは、企業や家庭での節電の定着などで電力の需要が減っていることが大きい。経済産業省の想定では、2010年夏と比べたピーク時の電力需要(大手9社の合計)は、気温の上昇や経済規模の拡大の影響を考えても約14%減って1億5550万キロワットになるとされる。

 電力消費の多い企業などの「大口需要家」は、特に節電に積極的だ。経産省が昨夏に実施したアンケートでは、大口需要家の93%が節電に協力し、うち95%が「来夏も継続する」と答えた。理由のうち最も多かったのは「コスト削減」で、利益を重視した行動だ。

 24時間営業の多いコンビニ業…

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