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反逆
「ちょっとトイレいってくる」
王はパーティを退出して、会場の近くの部屋に入る。そこには渋い顔をした、何人かの貴族や領地を没収された元大騎士たちがいた。
「どういうことだよ!絶対に成功するって言うから、この話に乗ったのに!」
王は部屋に入るなり、彼らを責め立てる。ここに集まったのは、専横を振るうイーグルを倒すべく立ち上がった、国を憂う有志たちであった。
王の意見も聞かず、好き勝手に振舞う宰相を亡き者にしようと集まったのである。
しかし、毒は見破られ、貴婦人を使ったナイフでの殺害も失敗した。
「申し訳ありませぬ……次こそ成功させますれば」
「頼んだよ!もし僕が暗殺の許可を出したなんてバレたら、爺になにされるかわからないよ。強制退位くらいならまだしも、シャイロック家が王家に反逆なんてことになったら……」
その光景を想像してルイ17世は身震いする。
「とにかく、爺さえいなければ、シャイロック家の跡継ぎはまだ12歳の平民の血が混じった馬鹿な小僧なんだ。借金をなかったことにもできるし、シャイロック家を潰して財産を取り上げることだってできるかもしれない。これはチャンスなんだ」
ルイの顔には、追い詰められた者のあがきが浮かんでいた。
「我々にお任せください。きっと国政を壟断する悪宰相を排除してみせます」
「頼んだよ」
それだけ言い捨てて、王はパーティ会場に戻る。貴族や騎士たちもさりげなく会場に戻っていった。
「まったく……今日は多いの」
イーグルは不機嫌そうにつぶやく。実は彼への暗殺未遂は初めてではなかった。
何回も毒を盛られ、あるいは剣や魔法で襲われている。
もちろんその対策も万全にとっており、いつもは水や酒も家から持参したものしか飲まず、万一の時のための解毒ポーションも持ちあるき、警護の者で周囲を固めている。
よって暗殺者たちは、どうしても宰相の目が行き届かなくなる王のパーティ会場での暗殺を画策したのであろうが、さっきからなぜか暗殺を未然に防ぐことができていた。
「もしや、リトネが作ってくれた、この下着のせいかの?」
そんなことを思っていると、騎士が報告に来る。
「シャイロック宰相様。ご報告申し上げます。牢に入れられた商人と、サフラン錫爵夫人は毒を飲んで果てたそうです」
「なんじゃと!警備の騎士は何をして……」
そこまで言った時、長年政治家として修羅場を生きてきた勘が警告する。
「くっ!」
とっさに身を翻し、袖口に仕込んでいた小さな杖を取り出して念じる。
「『岩』よ、こい!」
盾の形をした大岩を召喚する。次の瞬間、岩が炎に包まれた。
「……どういうつもりじゃ!」
「チッ!」
イーグルを暗殺しようとした騎士は、どこからともなく杖を出して、炎を放とうとする。
゛くっ!!この不心得ものたちを捕まえよ!!」
イーグルが命令するが、すでに何人かの貴族たちに取り囲まれていた。
「悪臣天誅!」
「王国を支配しようとする金貸しに成敗を!」
四方から炎魔法と風魔法、氷魔法と雷魔法が飛んでくる。
「ぐっ!」
イーグルはよけることもできず、まともに魔法が当たってしまった。

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