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家族会議
応接室に移動して、家族会議が開かれる。
リリパット銅爵は床に正座させられて、娘の説教を受けていた。
「いいかい!娘を売るような父親って最悪なんだよ!それも自分が楽しい生活を続けたいからって!そんなことをしていたら、銅爵家自体がつぶれちゃうよ!」
『自在の工具』を今度は先がとがったドライバーに変えて、威嚇を続ける。
銅爵はさっきから頭を下げっぱなしだった。
「す、すまん……だが、どうしても必要な金もあったのだ。だからワシも泣く泣く……」
「ふんっ!」
リトルレットは応接室のテーブルにずっしりと重い金貨の入った袋を投げ出す。
「こ、これは……リトネ様から借りてきてくれたのか?」
「ぢかうよ!これはボクたちが必死になって稼いだお金。姉さまたちにも手伝ってもらって、商人たちに自転車を売ったんだ!」
リトルレットたちの目の下には隈が浮かんでいた。どうしても必要な8000アルを稼ぐために、自転車をシャカリキになって組み立てたのである。おかげでこの三日間まともに寝ていなかった。
ちなみにリトネも来る予定だったが、自転車の部品を召喚するために散々リトルレットにこき使われたために魔力切れで寝込んでしまったので、今回はシャイロック領にいる。
娘たちが必死になって稼いだ金を渡されて、さすがのリリパット銅爵も気まずく思った。
「す、すまん……」
「リトネ君から聞いた。住居エリアには『ペガサスウィング』っていう船があるみたいで、それがいずれ魔皇帝を倒すために必要になるかもしれないんだ。だから住宅エリアの発掘自体には反対しないよ。でも、それが必要になるのはもっと後なんだ。ボクたちがその費用を稼ぐから、父上は我慢していて!」
「お父様、リトルレットの言うとおりですわ。私たちも妹を手伝おうと思います」
「リトネ様の事業をお手伝いしていれば、いずれお金は稼げますわ。あと数年待っていてください」娘たちからそういわれて、銅爵も折れる。
「わかった……色々すまなかった」
がっくりと頭を下げる父親に、リトルレットたちはやっと安心するのだった。
シャイロック領
リリパット銅爵家から戻ってきたリトルレットを迎えたリトネは、意外な思いをした。
帰ってきた馬車には、リトルレット以外にも二人の姉がいたからである。
「あれ?お姉さんたちも帰ってきたの?」
「うん。ボクの仕事を手伝ってくれるんだって。それに、リリパット銅爵家にいたらお父様にまた金持ちの商人と結婚させられるかもしれないから、三人でここにいたほうがいいんだよ」
リトルレットはちょっと悲しそうに言うが、二人の姉はにこにことしている。
「リトネ様、これから妹ともどもお世話になりますわ」
女子高生に見えるが、どこか妖艶な姉、トーイレット。
「さすがにシャイロック領の都ですね。大都会ですわ。これから楽しくなりそうです」
同じく女子高生ぐらいに見える、クールビューティの姉、ブルーレット。
二人の姉はこれから始まる新生活にわくわくしているようだった。

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