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貴族のお坊ちゃんだけど、世界平和のために勇者のヒロインを奪います 作者:大沢 雅紀
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商人の野望

「くそ!姉さまたちを嫁にしようなんて!その金貸しをはったおしてやる!」
自在の工具を巨大なトンカチに変えて威嚇するリトルレットに、冷静な声がかけられる。
「怒るところはそこじゃないだろう?そいつは金を貸す条件を提示しただけだ。それが気に入らないなら、断ればいい」
「だけど!」
リトルレットは声をかけてきたリトネに不満そうな顔を向ける。
「いいかい?とんなに無茶な条件を突きつけられたとしても、「断る」という選択肢がある以上、相手を責めることはできないんだ。まだ何も起きてないんだから」
「うっ……そうか……」
まだ起こってもない事に対して罪を負わせようとしていたことに気がつき、リトルレットも矛を収める。
「その金貸しを阻止するなんて簡単だ。問題はリリパット銅爵の説得だな」
「説得?」
それをきいて、リトルレットは首をかしげる。
「この中で本当に必要なのは、秋までの運転資金8000アルだけなんだ。残りの42000アルは、はっきりいって不急不要の金だよ。今急いで住居エリアの発掘なんてする意味はどこにもない。財貨室の発掘云々は口実に過ぎないよ。本当はもとの家に戻りたいだけだ」
「確かにそうですわね……」
姉二人も頷く。
「たぶん、今は住み慣れた住居をなくして頭が混乱してかっとなっているんだ。だから後先のことを考えずに大金を借りて、踏み倒そうとしている。銅爵には、それをあきらめさせないといけない」
「でも、どうやって?」
リトルレットが口を尖らせる。
「こういうときに、今までの信用が生きてくるんだ。金貸しのネットワークを見せてあげるよ」
リトネは邪悪にぐふふと笑い、金貸し対策を請け負うのだった。
「今回、一番望ましいのは、できれば秋までに必要な金も借りずに自力で乗り切ることだ。そうしたら、もうお金を借りる必要もないんだから」
「でも、どうすればいいの?ボクの冒険者時代の貯金も1000アルくらいしかないし、8000アルなんて大金どうやって稼げばいいんだか……」
リトルレットはため息をつく。
「ちゃんと金を稼げるものがあるじゃないか」
そういって、リトネは自転車を指差すのだった。

リリパット銅爵領都 シェルター。
とある大商人が満足そうに笑っていた。
「ふふふ……苦節30年。必死に働いて働いて働きまくって、ついに貴族になりあがるチャンスがやってきた!」
頭頂部のハゲが光る。彼の名はゼニスキー。40歳後半の太ったおじさんである。
一介の貧乏庶民から商売を起こして成功し、ついに長年の夢をかなえる時が来ようとしていた。
「しかも相手はリリパットのお嬢様。ぐふふ……若い嫁を手に入れて、可愛がって……」
バラ色の夢を見て悦に入る彼だったが、そのとき友人が訪問してきた。
「よう、久しぶりだな。結婚するっていうから、祝いをもってきたぞ」
手土産をもって訪問してきたのは、シャイロック金爵領で手広く商売している友人だった。
彼とは駆け出しのころからの親友で、数少ない心を開ける相手でもある。
リリパット銅爵家との婚姻話に舞い上がったゼニスキーは、彼にも連絡していたのだった。
話が短いというしてきがありましたので。最初のほうをまとめさせていただいています
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