挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
貴族のお坊ちゃんだけど、世界平和のために勇者のヒロインを奪います 作者:大沢 雅紀
23/204

実家の危機

(これは駄目だな。年40%の金利なんて払えるわけがない。発掘に失敗したら一気に銅爵家はその商人に乗っ取られるだろう)
これは身分制度がきっちりと決められているロスタニカ王国において、唯一の成り上がるための抜け道である。商売で成功した富裕な商人が、金と引き換えに貧乏な貴族の娘を嫁にとり、その子供を跡継ぎにと迫る。こうやって家自体を乗っ取るのだった。
(でも……これって逆手に取られて、金だけ巻き上げられて商人だけが損するというケースもあるんだよな。まてよ、だから原作では……)
頭のいい商人だと、とある荒業で貴族が借金を踏み倒すことができるのに気づく。その為、断られて商人からではなく、踏み倒せない大貴族からしか金を借りられないという場合もある。
(なるほど……きっと原作ではシャイロック家に借金を申し込んで、財貨室の発掘に失敗して姉たちが奴隷にされたんだな。そりゃ金貸しに恨みをもつようになるか)
ようやくリトルレットが金貸しを嫌うことになる理由がわかった。
「わかりました。お貸ししましょう」
リトネの言葉にぱっと明るい顔になる二人。
「それで、いくらぐらい必要なのですか?」
「エレベーターに絡んだ糸を撤去し、魔動エレベーターを再稼動できるようにして、住居エリアを掘り起こす費用と、税が入ってくる秋までの資金の合計が5万アル必要だと父は申しておりました」
実に申し訳なさそうにいう二人。あまりの大金に、リトネはびっくりした。
「五万アル……」
慌てて二人が提出した紙に書かれている内訳を見る。修復費用と発掘費用に42000アル、秋に税金が入るまでの運転資金に8000アルが必要だと書かれていた。
「……今回は秋までの運転資金のみにした方がいいですよ。それだけにしても、当家から低金利で貸した場合でも月利2%として480アルも必要になる。まして5万アルを借りた場合、三ヶ月で財貨室に到達したとしても3000アルも余分に払わないといけないのです。そもそも、財貨室にそれほどの金はありますか?」
リトネの鋭いツッコミに、二人は黙って首を振る。彼女たちも父の本心は、地下の住居エリアに戻ってひきこもり生活を続けたいというところにあるのを見抜いていた。
そして娘二人を犠牲にして、借金を踏み倒すつもりなのだろう。
「これは……お二人にも協力していただかなければなりませんね」
「協力ですか?」
二人は金を見合わせる。
「うまくいけば、運転資金を借りる必要もなくなるでしょう。リトルレットの説得に協力してください」
リトネはそういって、二人に頭をさげるのだった。

リトルレットの研究室。
「あはは、面白いー。これって足を暖めるためのゴーレムなんだ!」
コタツを分解して悦に入っているリトルレット。そこに、リトネと二人の少女がやってきた。
「あれ?姉さまたち?」
「リトルレット、元気だった?」
姉妹は抱き合って再会を喜ぶ。
「どうしてシャイロック家にきたの?」
「この二人は実家の危機を訴えにきたんだ。リトルレットにも関係するから、話を聞いてほしい。実は、リリパット銅爵家は相当苦しいみたいなんだ」
姉たちから、実家の窮状が説明される。
「そんな!なんで?」
「ツチグーモのせいで、住居エリアが壊滅しただろう?銅爵家が長年地道にためていた財貨はどこに保管されていた?」
「あっ!」
「今、人を雇って必死に掘り起こそうとしているみたいだど、難航しているみたいだよ。それで、商人から金を借りようとしているみたいなんだ」
その条件を聞いたリトルレットは、怒りのあまり顔を真っ赤にしていた。
cont_access.php?citi_cont_id=875042061&s
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ