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貴族のお坊ちゃんだけど、世界平和のために勇者のヒロインを奪います 作者:大沢 雅紀
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商人の提案

「あなたに救われた後、私たちは地上の館で生活を始めたのですが、すぐにあることで困るようになりました」
「あることとは?」
リトネが首をかしげる。
「お恥ずかしいことなのですが……私たちリリパット銅爵家の財貨を納めた部屋は、盗難よけのためにグーモダンジョンの最深部である
住居エリアにありました」
「しかし、あの事件により住居エリアにいけなくなったため、私たちはあっというまにお金に困ることになってしまったのです。家臣に払う給料どころか、食べ物を買うお金すらこまるようになり、私たちの父はある決断を迫られました」
二人の訴えに耳を傾けながら、リトネは内心焦っていた。
(やばいぞこれは……もしかして、リトルレットが金貸しを嫌う原因かも)
悪い予感を感じながら、リトネは先を促す。
「もしかして……」
「はい。私たちは父にシャイロック家からお金を借りましょうと提案したのですが、リトネ様にこれ以上力を貸していただくわけにはいかないと反対されました。そして別な金貸しを頼ったのですが、あまりにひどい条件を突きつけられて」
二人はしくしくと泣く。
「条件とは?」
「もし返せなかったら、私たち二人が金貸しの妻となること。年に4割の金利を払うこと。そしてリリパット銅爵家の領内の商売をすべてに便宜を図ることなどです。ちなみにその金貸しとは、40代にもなるおじさんで、ハゲてて太っていて……」
あまりにひどい内容で、きいているリトネも胸糞が悪くなってきた。
「どうしてそこまでひどい条件で……」
「仕方がないのです。父は何とかして住居エリアを発掘して、財貨室を掘り起こせば借りた金など返せると豪語するのですが、私たちはそんな賭けのための犠牲にされるのが忍びなくて……藁にもすがる思いでリトネ様を頼らせていただいたのです」
訳を話し終えた二人は、抱き合って涙ぐんだ。
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