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貴族のお坊ちゃんだけど、世界平和のために勇者のヒロインを奪います 作者:大沢 雅紀
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第一段階

そして一ヵ月後、リトネの執務室に呼ばれて、給料を与えられる。
「はい。一ヶ月ありがとう。これが君が稼いだお金だよ」
大事そうに「給料袋」と書かれた袋を開けてみる。
すると、中には20枚の金貨が入っていた。
「……こんなに?」
思っていたよりずっと多いので、ナディはびっくりする。
「ナディ、よくがんばったな。その金は全部お前が汗水たらして稼いだものだ。好きに使っていいんだぞ」
執務室にいた父ゴールドからも褒められる。
貴族の令嬢とはいえまだ12歳のナディは、今まで銀貨以上のお金を与えられたことはなかった。
それがいきなり20枚も金貨を手に入れられて、思わず頬がゆるむ。
「……やったー」
金持ちになるプログラムの第一段階「一生懸命働いて、金を稼ぐ」ことを、ナディは理解しようとしていた。
娘が喜ぶ様子をみて、父であるゴールドも喜ぶ。
「リトネ様、感謝いたします。最近のナディはやわらかくなり、変に身分の低い者を見下すといったこともなくなった」
「まだまだです。次の段階に進めないと。ゴールド様、これからはあなたの協力が必要になってくるので、よろしくおねがいします」
リトネはまだ満足せず、ナディの教化を進めようとしていた。

一ヶ月過ぎるには、仲良くなったおっちゃんたちに別の頼みごとをされるようになってきた。
「ナディちゃん。あんた、氷を作る量はこれ以上増やせないのかい?」
ある日、魚屋のおっちゃんからこう聞かれる。
「……別に?もっと氷を作っても全然平気」
「そうか。いや、おれっちの友人が飲み物屋をしているんだど、酒樽とか茶を冷やすために倉庫を使わせてほしいとうるせえんだよ。だから一応聞いておこうとおもってな」
「……私にはわからない。リトネに聞いてみる」
「頼むぜ。信用できるいい奴だから、力になってやりてえんだ」
おっちゃんはナディの頭をポンポンと叩いて、帰っていった。
「……みんな、そんなにこの倉庫を使いたいのかな?」
ナディは疑問に思う。同様の問い合わせは八百屋や果物屋、肉屋からも頻繁に来ていた。
「ナディ様!ぜひうちにも使わせてください!」
「お願いします!」
出入りの業者から紹介を受けたという商人が、名刺と手土産をもって自分に頼み込んでくる。
「……リトネに聞いてみよう」
ナディはリトネの執務室に向かうのだった。
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