ユンケル委員長に責任論、進退問われ本人否定
【ブリュッセル八田浩輔】欧州連合(EU)離脱を決めた英国民投票を受け、欧州委員会のユンケル委員長に責任論が浮上している。ユンケル氏は6月29日のEU首脳会議終了後の記者会見で進退を問われて「そうした批判に影響されるつもりはない」と否定した。
AFP通信によると、チェコのザオラーレク外相は、ユンケル氏が国民投票前に英国側に積極的に残留を求めなかったと指摘し、「(ユンケル)欧州委員長は適任とは思わない」と地元メディアに語った。「欧州委には英国離脱の結果責任がある」(EU外交筋)との声もある。
ユンケル氏はルクセンブルクの首相を約18年務め、欧州の通貨統合を推進。その後、2014年11月からEUの行政機関の役割を担う巨大な官僚機構を抱える欧州委のトップに就いた。EUの強力な権限の「象徴」として英国の離脱派を含む域内のEU懐疑派からは何かと批判が向けられる。
ユンケル氏と共に29日の記者会見に出席した欧州理事会のトゥスク常任議長(EU大統領)は「そのような質問はアンフェアだ」とし、国民投票前に行った英国との交渉で「(残留のためにユンケル氏は)最大限以上のことをやった」と擁護した。