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NHK総合 毎週土曜 午前8:15〜9:28
連日ニュースで取り上げられる竹島と尖閣の問題。腑に落ちないことも多く、モヤモヤした感情が渦巻くばかり...。
そこで今回の深読みでは、素朴な疑問、視聴者のみなさんの「ここが知りたい」に答えていきます。
「そもそもなぜもめているの?」
「解決法は?」
といった疑問にQ&A方式でこの問題を読み解きました。
〈小野アナウンサー〉今週、竹島と尖閣諸島をめぐって、さまざまなニュースがありました。番組では事前に募集したところ、竹島や尖閣問題について、1167件の視聴者のいろんな質問が寄せられました。疑問が集中したのはこの4つです。「ここが知りたい!竹島・尖閣」 なぜもめているの? 領有権、各国の根拠は? 韓国中国なぜ過熱する? 解決法は? では、まず1つめのなぜもめているの疑問から、解き明かしてまいりましょう。
〈小松アナウンサー〉 まず竹島から見ていきましょう。
竹島というんですが、1つの島ではありません。2つの大きな島と、そのまわりにある数十の岩から、これらを竹島と呼んでいるんです。大きさは東京ドームの4個半分です。
海からすぐが断崖絶壁ともなっていまして、飲み水に乏しいのでなかなか人が住むのは難しいといわれているんです。しかし、この竹島の周辺海域というのは、さまざまな魚がとれる豊富な漁場となっています。
一方の尖閣諸島ですが、3つの島と5つの岩からなっています。これらで尖閣諸島と呼んでいます。もっとも大きいのが魚釣島ですね。大きさは東京ディズニーランドの7.5倍。ま、3.82平方キロメートルということです。
浜もありますよね。いまは無人島です。しかし、戦前はかつお節工場があり、日本人が200人以上住んでいたんです。
では、みなさんからのその疑問、問題となっているのは、どうしてかという点ですが、歴史を見ていきましょうか。
100年以上前のことです。ときは明治政府。2つの島々に関して、我が国の領土だとしました。明治政府このようにいったわけですね。ときは流れて、第二次世界大戦、日本は破れました。
それから6年後、この条約が調印されます。サンフランシスコ平和条約、調印です。これで日本は主権を回復して、国際社会に復帰を果たします。
条約つくるときに、日本の領土をどの辺にするのかというのが話し合われました。アメリカはその過程で、こういった立場をとったとされています。竹島は日本の領土。
しかし、これに異をとなえる国がありました。韓国です。われわれの領土であると。韓国は古くから竹島の領有権というのを主張してきたんです。
どういった行動に出たかといいますと、サンフランシスコ平和条約が効力を発揮するのは翌年の52年です。その効力を発揮する3か月前に、李承晩ラインを引いたんです。
李承晩というのは、ときの韓国の大統領の名前です。ラインですので、線、これを海の上に一方的に引いたんです。竹島もなかですよね。で、このラインよりも内側では韓国の国籍を持った船以外は、認めません。漁をしてはいけませんということを主張したんです。日本はどうしたかといいますと、日本政府はこのラインというのは国際的に認められない、根拠がないものじゃないかといいました。どういうことが起こるかというと、日本国籍の船がラインを越えて漁をしようとすると、拿捕されたりするなどの事件があったんですね。あの拿捕された船の数は200隻以上で、抑留された人はおよそ2800人。そして死者は5人。
さらにですね、その李承晩ラインを引いた2年後に、沿岸警備隊を常駐させて武力で島を占拠しはじめたんです。これに関して日本政府は不法占拠であると抗議を続けてきましたが、灯台を建てたり、また監視所、宿泊所を建てるなど、現在にいたっているというわけなんですね。ここまでが竹島。
そして、続いて尖閣諸島です。これもこの条約によって、沖縄など南西諸島と同様に、アメリカの占領下に置くとする、ということになりました。そしてアメリカから日本に返されるのが、その20年後。1971年、沖縄返還協定が結ばれた翌年に日本に返されます。
では中国はというと、このころになって領有権を主張しました。われわれの領土だと。なぜか。日本政府はこう見ています。
このころになって、この海底を調査してみると、豊富な石油があるとことがわかったんです。つまり、日本政府はこの石油が目当てで主張してきたのではないかとみているんです。現在中国が主張する境界線はここなんですね。どういうことになったかというと、先月香港の活動家がこちら魚釣島に上陸しました。そして、竹島にもイ・ミョンバク大統領が上陸するという事態になったというわけなんですね。
〈小野アナウンサー〉竹島をめぐる問題について、視聴者の方々から、なぜ政府は強行策をとらないのかという声が、実は多く寄せられました。たとえば、なぜ韓国の警備隊が竹島に来たとき、日本は守らなかったのか。なぜ竹島にいる韓国人を追いださないのか。もっと強気に出るべきだ。こういうご意見について、どう思われますか。
〈孫崎さん〉あの、領土問題の一般原則について、どう対応したらいいかっていうこと、ちょっと申し上げさせて頂きたいと思うんですね。いま世界では内戦とか領土問題をのぞいて、戦争っていうのはほとんどないんですよね。だけども、この領土問題がからむと戦争になる。だから、そういうようなことではね、世界において平和なものをつくるというときには、いかに領土問題を紛争にしないかということが、非常に重要なことだと。そういうことになりましたら、領土問題っていうのは基本的にはこちらの国も正しいといってる、相手の国も正しいといってる、そのなかで新たな行動をとってね、緊張を高めるようなことはお互い差し控える。そういう意味では、今回の韓国の大統領が竹島へ行くと、こういうような行動というのは、双方とも避けて、そして緊張を静かにしていくということが、一番重要なことだと私は思ってます。
〈桂さん〉国際法で判断していくんだって日本の方はいってますが、その効果は?
〈孫崎さん〉たとえば、国際司法裁判所へ持っていくといいますよね。で、韓国は出てきません。だから現実の問題として、国際司法裁判所で審議するということはないんですけれども、日本は国際的な中立的な公平な原則でもって、この問題を処理しようということをアピールする。そうすると韓国側はですね、それに対して出てこれないということは、韓国の主張というのはやっぱり根拠が薄いんではないかというようなことになりますから、それを続けることによって、韓国国民に対する教育上もいいし、国際的な支持も得られるから、できるだけやっぱり国際的な場にもっていくという努力は、これからの日本は続けたらいいと思います。
〈宮家さん〉みなさん難しく考えすぎてもいけないと思うんですね。僕、非常にこれ簡単な問題だと思っていて、たとえばね、ずっとガールフレンドなんですね。竹島の場合はね、ちょっと目を離したうちにね、相手にとられたんですよ。しかも、相手の家に住んでいる。それでね、その家をこじ開けてですよ、ドアを壊して彼女を取り返しますかと。日本はね、もう国連のメンバーになってから、国連憲章で武力による領土の返還、交換には、取り戻し、こういうのはもう国際法上違反になってますから、国際協調の日本としてはそれできないわけですよね。
ですから、やっぱり話し合いでやらなきゃいけない。必要だったら家庭裁判所に行けばいいわけで。ただ相手もね、韓国ってのは共通の友人でもありますしね、もちろんKARAもありますけれども、やはり他にも悪い人はいっぱいいるんで。そこは別の考えかた、もう少しその荒っぽくないやり方でね、話し合いで時間をかけてやっていかなきゃいけないんだろうと思うし、これが韓国のケースだと思うんですね。
〈出石解説委員〉竹島、もう60年ぐらい続いているわけですよ。それは当時、日本と韓国のあいだに国交がなかったとか、朝鮮戦争が始まって半島が戦争になっちゃったとか、あるいはもう、その日韓の国交回復を優先するという、ま、いろんな事情があったにせよですよ、そういった状態がやっぱり60年以上続いているということについてはね、率直に反省する必要があると思うんですね。ただ宮家さんおっしゃったように、だからといって、こういう問題ってすぐに勇ましいことをいう人がいるんですけれども、やはりそれによってどういう結果が生じるかということを考える必要があると思うんです。
〈小野アナウンサー〉尖閣をめぐる問題についても、実は視聴者の方から、尖閣諸島に日本の建物をつくるのはどうかという意見がありました。そして正直、石油が出たから手を上げるっていうのは正当性が感じられないんじゃないかって、思ったりもしたんですが。
〈加藤解説委員〉あの、まず石油が出たからあそこが自分のものだと中国がいったわけではなくて、中国はもともとあそこは自分のものだといってたと、一応主張しているわけですね。
明の時代からですね、ちょっとご説明すると、
中国は明の時代からですね、自分たちが名前をつけたんだと、だから自分たちのものだといっていたんですけども、いっていたと主張しているわけなんですけども、ただ公式にですね、自分たちのものだといったというのが、なぜ1970年だったかというと。まず日本が1895年に、あそこが日本の領土であるということを宣言したわけですども、それは調べにいったらば、これを10年前ぐらいに調べてにいったんですね。誰もそこは住んでいない、誰のものでもないということがわかったので、それで95年にもうここはじゃあ、自分たちのものですと宣言したと、そのときに誰も反対しなかったから、ここは自分たちのものだということになったということでいってるわけですね。
ところが、それに対して異議を唱えていなかったのに、1971年ごろになってですね、自分たちのものだといい出したっていうのは、それはきっとあそこに直前に国連が調べたらば、石油があった、どうもここにあるということが分かってきたんで、それでいったんだろうという風にこっちで想像していると。むこうが「あそこに石油がありますから自分たちのものです」と、いったわけじゃないんですね。当時は、中国は石油の輸出国です。いまのような状態だったら、石油はほしいから、いうかもしれないんですけれども、当時はそうじゃないんですね。で、1971年がどういう年かっていいますと、中国が国連に加盟した年なんです。それ以前は中国というのは、むしろ中国の、中国の代表としてね、まあ、国際的にあまり認められていなかった。日本も中国の代表というのは、台湾の国民党政府だといったし、アメリカもそういっていた。で、中国が国連に加盟し、そして日本との国光正常化交渉がはじまり、こういう状況になってきて初めて中国の、いまの中国が政府としての国際認知をされはじめるようになってきた、ということなんです。
〈小野アナウンサー〉孫崎さん、宮家さんは、尖閣に関してはどうしたらいい、建物を建てたらどうなんだみたいな話は?
〈孫崎さん〉あの、建物を建てるの話の前にですね、いまのいろいろ中国の主張のことについて、一言言及させて頂きたいと思います。われわれ非常に重要なことはね、これは日本がわれわれのものだといってる、それはそれでいいですね。だけど、相手の国もある程度の根拠があって、正しいといっているということを理解しなきゃいけない。この地域は係争地域なんだと、ね、日本が主張してそれを世界中が認めている問題ではない、ということはですね。たとえばアメリカの態度見ますとね、アメリカは尖閣諸島の問題については、日本側の立場にもつかないし、中国側の立場にもつかない。というようなことで、基本的にはこの地域は紛争なんだと、係争地なんだと、係争地だとすると、どうするかっていうことになるんですね。
それで中国側の法的な問題を少し申し上げますとね、日本はポツダム宣言というのを、受諾してるんです。ポツダム宣言のなかには、カイロ宣言というものを履行すべきということをいってるんですね。カイロ宣言っていうのは何が書いてあるかっていうと、日本国が清国人より受け取った一切の地域を中国側に返す、とこういっているわけですよ。そうすると、さっきの1895年っていうのは、清国の時代ですから、中国側から見ると、これは返すべきというもののなかに入ると、こういうことですから、重要なことはね、われわれは正しいということをいい続ける。これはこれでいいと思います。しかし同時に、相手国も正しいということをいってるときには、ある程度の根拠があるから、その根拠を両者が正しいということをいいながら係争しているわけで、どうしたら紛争をしないか、その知恵を出すっていうことが一番大事だと思ってます。
〈小島さん〉戦争になったら、中国の人も日本の人も両方不利益ですよね。両方、不幸ですよね。戦争にならないことが、どちらの国にとってもベストなわけでしょうから、戦争にならない工夫を。
〈小野アナウンサー〉まだ竹島が韓国が主張する理由、竹島は領土と主張する理由をまだ十分聞いてなかったので、そこだけちょっと押さえておきたいんです。
〈出石解説委員〉尖閣と一番違うのは、竹島の場合はもっと争いの歴史が長いんですね。簡単にいいますと、韓国側はですね、西暦512年。このときからずっと韓国のものだったといってるわけです。で、日本側は江戸時代ですね、このときから日本は領有権を獲得したんだと。お互い昔からうちのもんだといってるわけなんです。ただちょっと両方ともですね、長い間ちょっとほったらかしにしていた時期もあってですね。で、1905年に日本は島根県に編入して、これでもう国際法上は日本のものになったんだといってるんですが、ここで問題がややこしいのは、このときっていうのはこの日露戦争をやっていて、この5年後には韓国併合があるんですね。韓国の立場からすると、これは日本の植民地支配なんだと。韓国を植民地にする第一歩として、この島をとったんだと。だから、日本が戦争に負けたあと、それを返してもらうのは当り前だと。こういういい方なんですね。
〈小野アナウンサー〉根拠っていうことでいうと、国際司法裁判所に出たとき勝てるのかっていう疑問も、実はたくさん視聴者の方々からお寄せいただいたんですが。
〈孫崎さん〉それはね、いろんな形がありますけども、日本側非常に強いのはね、先ほどちょっと出ましたように、1951年このときにサンフランシスコ条約ができるときにね、韓国側はこれを日本が放棄するというようなものにしてほしいということをいった。これに対してアメリカ側は、歴史的に見るとこれは日本のものだよということをいってますからね、ある程度、日本が強い立場になってると思います。
〈宮家さん〉日本が強いからこそ、韓国は受けられないんですよ。韓国受けたら負けちゃうことわかってるからこそ、その司法裁判所への付託っていうものを拒否したんだと思いますよ。
やっぱり韓国を見るとね、国内政治だと思うんですよ。やはり今の大統領はもう一期で終わりですよね。12月には大統領選挙があります。そして国内的には自分の側近がね、いろいろ問題起こしたりして非常に追い詰められてる。こういうときに起死回生のパフォーマンスをやるという。
中国もね、やっぱり基本的には国内問題、特に日本との関係でね、毛沢東さん、周恩来さん、鄧小平さん。これまでカリスマを持ったね、非常にその革命の世代でしたから、彼らはある意味で国内をおさえられたわけですよ。ところがね、その後、天安門事件の後はね、どんどん中国の国内の状況は変わっていって、そしてリーダーシップがある意味弱くなった。だからこそ90年代にはですね、どんどんその反日的な活動、すなわち中国のナショナリズムを刺激するかたちで、政権維持というかたちになっていった。その延長上にですね、この尖閣の問題もあるし、同時に島という点では南シナ海の島についても同じような問題を抱えている。
〈小野アナウンサー〉でも、冷静になろうよっていう人いないのですか。
〈孫崎さん〉論議として冷静になろうというね、棚上げというような問題というのは、なんとなく生ぬるいというような印象がちょっとあるんですよね。しかし、尖閣諸島についていま両方とも自分のものだという主張をしているなかで、この棚上げ論というのは日本にとって極めて有利な条件なんです。どういうことかというと、基本的に両方が自分のものだといってるなかで、実行支配は日本がしているということを中国は認めているということ。それからね、その次に軍事を使って現状を変更しないということにコミットしているということ。それから三番目に、この実行支配が長くなれば長くなるほど、国際法的には法的には日本のものになるという根拠が強まるということ。ということでね。
〈加藤解説委員〉竹島は違うんです。竹島はむこうが持ってるから、棚上げっていわれたら、われわれ困るわけですよ。不利になるのね。それから北方領土もそうですよ。ロシアが実効支配してるから、棚上げっていわれたら困るわけで。だから実行支配されてしまってる方、やられてる方は棚上げっていうのは本当は不利なわけ。だから、棚上げっていうのは、われわれが口が裂けても北方領土とか竹島ではいえないんですよ。
〈小島さん〉中国が武力で奪おうとしているんじゃないかとか、韓国もそれをもくろんでいるじゃないかとか、ってことを心配して、やられるぐらいだったら、こっちもあんまり隙を見せてはいけないとかって心配する人もいるんじゃないかと思うんですけども。
〈加藤解説委員〉心配はあるんだけどね、韓国と中国わけてください。韓国は確かにそうかもしんないけども、中国についてはね、これ日中平和友好条約。これ1978年にまさにその、棚上げ論議というですね、決めたの言葉です。これ日中政府の合意です。第一条。そこにね、すべての紛争、これを平和的手段によって解決し、武力または武力による威嚇に訴えないことを確認する。もし中国が軍事力を使って、あそこを取ろうとしたら、この平和友好条約を破棄することになりますね。これもう日本と中国は、戦争状態になるということです。今までも、いろんなね、あの漁業監視船とか、それから調査船とか、いろんなのくるんですけども、中国の海軍は一度もね、こないわけですよ。
〈桂さん〉フィリピンとかね、対中国に対してその、アジアの国々が領土問題で問題をたくさん抱えておる。それは連携して対応していくなんていうのは、どうなんですか。
〈加藤解説委員〉私はね、そこがね、議論がわかれるところだと思いますね。みんなで連携して、あの合従連衡ですけどね、中国に対して不法なことをするのはやめましょうという言い方もあるかもしれない。だけども、基本的には領土問題というのは国境問題なんです。
〈小野アナウンサー〉では、韓国中国はなぜこうも過熱するのか、たくさん質問がきています。
〈加藤解説委員〉中国についていえば、いまあんまりそんな過熱していないですよ。それは確かにね、インターネットをみれば過激なことがたくさん書いてあります。でも、それが中国の全体の世論ではないです。実際に私もね、中国の最近出ている新聞を読みました。
これをみると、いかにも中国が今にも戦争を仕掛けそうなね、そういうようなこと書いてあるような新聞もあります。で、こういう雑誌も、これも中国のニューズウィークといわれてる雑誌ですけども、かなり強くて。これで敵愾心、中国人の日本に対する敵愾心をあおるようなね、こういうものを出していることも事実です。
また、二隻で一隻を挟みうちにしたから、日本の大使の車をね、二台の車ではさみうちしようと、そういうこと考えた人もいるわけなんです。だけども、そういうやつがいるけども、じゃ、いま日本の、中国のなかで2005年の反日デモのときのようなものすごい反日感情があがっているかっていうと、そうではない。たしかに反日デモがいくつかあちこちで起きてますけど、今はかなり抑制されているし、中国政府もかなり抑制している。この問題を大きくさせないようにしている。なぜかというと、彼らは間もなく党大会で政権交代があるんですね。ですから、彼らにしてみれば、代表がね、指導者が変わる状況のなかでは、大きな外交的な波乱を起こしたくないって気持ちが働いているので抑制している。ですから、人民日報とか公のね、こういう新聞じゃない新聞、彼らの中国政府を代表するような新聞では、かなり抑制している。
〈小野アナウンサー〉加藤さんは実際、あの大使の車の旗を奪われたとき中国にいた。
〈加藤解説委員〉そう、あのとき私は中国にいましてね。ちょうど中国政府の関係するね、対日政策に対してきわめて重要な立場にたっている人に、なんてことするんだと、日本の大使のね、旗をへし折ったと、これは大変な侮辱であるし、外交問題だといったわけですね。そうしたら向こうの方はなんて答えたかというと、いや、私たちも困ってるんですと。いま私たちは日本との間で、こんなことをしたいなんてまったく思ってないという風に、彼らいうわけですね。本当なのかと、どこかで裏でやらせてんじゃないかということもいったんですが、違いますと。自分たちが本当に攻撃するときはやると。だけど、今回は違うんだっていうことをいってました。
〈宮家さん〉視聴者のね、ご質問に簡単に答えればね、韓国も中国も先ほどもいったように、中国国内のね、政権が弱い。だから民族主義であおる。で、特に韓国がそうです。それから中国については、加藤さんのおっしゃったとおりです。中国はそれはやりたいんだけど、あまりやりすぎると今度は反日運動が反政府運動になる可能性がある。それはかえって逆噴射ですから、そういうことがないように、うまくコントロールをしている。そこが韓国と中国の違いです。
〈小島さん〉韓国の場合はね、大統領まで動いてっていうのは、あれはどういう?
〈宮家さん〉あれは非常に刹那的衝動的感情的な、なんていうんですかね、韓国のその国益を見据えた戦略的な動きではないと思っています。
〈小野アナウンサー〉じゃあ、どうすれば解決するのか。解決策をおひとりずつちょっと伺ってみたいんですが。
〈孫崎さん〉一番重要なことは、相手のポジションも十分に理解する。われわれは自分の主張はよくわかってます。しかし、相手の主張も理解する。これはね、まだ日本に欠けている。それから、もう1つは、一番大事なことは領土もこの、領土問題で、紛争にしない知恵をみんなで出していく。その気運を日本側も努力するし、韓国も中国もあわせてやる。それから、たとえばですね、いまフランスとドイツ、この間に領土問題っていうのは本質的にはあるんです。だけど、両方が協力し合うことによって、この領土問題っていうのを、重要性ってのは低いんだ、もっともっとお互いに協力することが大事だというような感じになってますから、そのような感じに持っていくのが重要だと思います。
〈宮家さん〉領土問題でね、紛争になったり戦争するのは、こういうのは絶対避けた方がいいと思いますよ。しかしね、相手がね、どうしてもそういう戦略的にちょっかいを出してくる。そしてちょっかいを出してくんだったら、そりゃね、相手を殴り返す必要はないですよ。だけどね、ボディガードぐらいは置かしてくださいということですよ。
〈出石解説委員〉やはり領土問題、解決してないわけですよね。だから、これはやっぱり解決案を出すべきだと思います。それは交渉なり、第三者に頼むなり、いろいろやり方あると思いますけども、少なくとも解決を目指すという努力が必要。一方で、国境の線を引くだけがですね、僕ね、外交じゃないと思うんですよね。むしろ、いまどんどん国境の線って薄くなってますでしょ。人と人、物とかお金がどんどんどんどん国境を越えて流れてるときに、国境の線を引くだけがですね、本当にお互いにとっていいのかどうか。その辺こそ考えるべきだと思いますね。
〈加藤解説委員〉尖閣に関してはね、早く解決することだけが解決法じゃない、解決しないということも解決法なんだと私は思います。で、中国のことわざにこういう言葉があるんですよ。重い石を無理やり持ち上げようとすれば、ものすごく力がいるんです。でも、置いといたらば、力は何もいらないんです。という、ことわざがあるんですね。だから、何にもしないことが最善の策かもしれない。っていう、これ私、そういうのも知恵だと思いますよ。
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