2016-07-03

六月終わった

今年も六月が終わった。俺は六月が嫌い。

あの年の六月、俺はとある会社の若手社員として働いてた。

そして、あの日曜、秋葉原とある会社リプレイス作業現場にいた。

から作業始めて、昼くらいのこと。

客が騒ぎ始めた。大きな交通事故かなにか起きたらしいぞ?と聞かされた。

ふーん、と思った。俺は作業を続けた。

で、作業終わったのが数時間後くらいだったか

なんか事件が起きたと聞かされ、寒いサーバルームで待機することになった。具体的なことは教えてもらえず、不安になった。

大きな事件しかった、とりあえず上司事件かなんかが起きたらしいことと待機になったことを報告した。

なにも情報が入らないまま、ただ待たされた。

携帯も見られない、外にも出られない状態で。

帰る頃には、もう夜になってた。記憶曖昧だが、途中まで歩かされて、変な場所から客の車かタクシーか何かで送られた気がする。街がなんか違う感じになってた気もする。記憶が抜け落ちてる。

帰り着いて、はてなを見たら、痛いニュースかなんかの記事がめちゃめちゃブクマされてた。

秋葉原トラックナイフを使った通り魔とかなんとか。

え?と思った。さっきまでいた場所じゃん、

えー、作業場とこんなに近い場所でかよ

と思った気がする

その時はびっくりするだけだった

翌日、上司やら何やらに大変だったなと言われた。

はじめはこんなことってあるんだな って感じだった。

平気だったし、俺は何の恐ろしい思いもしてない。

だが、しばらくして事件報道を聞くたび何とも言えない嫌な気持ちになり始めた。

恐怖もあるし、なんか、言葉にできないけど押し潰されそうな感覚を味わうようになった。

上司からは、飲み会で、こいつ例の事件の時アキバ作業入ってたんだぞ!と言われて、話をさせられたりした。

俺はその時くらいからすこしノイローゼみたいな状態になってた。嫌悪感しかなかったが、ごまかすように自分体験面白可笑しく話した。

もし俺が女性だったら気を使われたんだろうか?確かに、俺は図体でかいし全く繊細じゃない。この事件上司のいじりの格好のタネだった。お前、もし作業がもう少し遅く始まってたら刺されてたかもしれないぞ!とか、お前だったら刺しても死ななそうだな!とか言われもした。仕事ポカミスしたら、こんなことな被害者の代わりにあの時刺されてたらよかったんじゃないのか?とか言われた。やめてくれと思いながら笑っていた。

被害もないし、事件現場も見てないので、周りもまったく気にしてないみたいだったが、俺は日に日に弱って行った。でも騙し騙し働いて、自ら事件のことをネタにしてた。今にしてみたらそれが良くなかったのかも。早めに休めばよかった。

まず眠れなくなった。眠っても悪夢を見る。覚えてるのが、寒いサーバルームで待ってる時の夢。隣で人が殺されてて、ばれないように声を潜めてる夢だった。

あとは人ごみにいる夢。人はたくさんいるのに犯人が俺を見て刺しかかってくる。

俺は狭い場所が無理になった。不安なまま待たされたサーバルームイメージが消えてなかったんだと思う。

俺は病気になり、会社に行けなくなった。仕事に不満もなかったし真面目にやってたか上司も驚いただろう。まさかただ犯行現場のすこし近くにいただけでこんな弱るなんて誰も思わなかったと思う。俺自身もなぜこんなことになったのかよく分からなかった。

精神科にかかり、仕事を辞めた。部屋から出られなくなり、彼女とも別れた。

立ち直ったのがその一年後くらい。一度実家に帰ったが、誰も理解してくれなかった。父親からは、でかい身体してるのに根性がないとか、事件で刺されたわけでもないのに情けないとか、辞めるためのていのいい言い訳だろとか言われた。

そんな実家をまた離れ、俺は徐々に回復していった。

今はまた普通に正社員してるけど、時々やばくなる。今も狭い場所は苦手。やばい時は早めに病院に行ってる。

一言言うとすれば、人は「え、こんなことで?」というようなことで挫けてしまうこともある。はじめは平気でも時間差で心がダメージ負ったり。

無理しないで、やばいと思ったら早めに休むべきだ。

恥じる必要はないと思う。

これまで医者以外にこんな話伝えて来なかったけど、何となく当時のこと書けるようになったから書き残しとく。今は平気だけど、後でなんだか不安になったら消す。

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