インドネシア 南シナ海の開発急ぐ 中国けん制か

南シナ海にあるインドネシアの排他的経済水域で、中国の漁船が違法操業の疑いで相次いで摘発されるなか、インドネシアのジョコ大統領は、この海域にある島での水産業の振興や資源開発を急ぐよう指示し、南シナ海のほぼ全域の管轄権を主張する中国をけん制する狙いがあるとみられます。
南シナ海にあるインドネシアのナトゥナ諸島周辺は、漁業資源のほか、石油や天然ガスなどにも恵まれていることで知られていて、沖合の排他的経済水域では、ことし3月以降、中国の漁船が違法に操業した疑いで相次いで摘発されています。
インドネシアのジョコ大統領は29日、首都ジャカルタの大統領府で、ナトゥナ諸島の経済開発について関係閣僚などと話し合う会議を開催しました。会議の中で、ジョコ大統領は「ナトゥナにある16か所の油田のうち、実際に生産を開始しているのは5か所しかない」と指摘しました。そのうえで、「すぐにでも生産を開始できるよう開発を促す必要がある」と述べ、水産業の振興や資源開発を急ぐよう閣僚などに指示しました。
中国が管轄権を主張している南シナ海のほぼ全域には、ナトゥナ諸島沖のインドネシアの排他的経済水域も含まれていて、ジョコ大統領としては、経済開発を通じてインドネシアの主権を強調し、中国をけん制する狙いがあるとみられます。