五輪開催リオデジャネイロで犯罪多発 外務省が冊子作成

五輪開催リオデジャネイロで犯罪多発 外務省が冊子作成
この夏、オリンピックが開催されるブラジルのリオデジャネイロで、日本人を狙った強盗などの犯罪が多発しているとして、外務省は防犯の注意点などを冊子にまとめ、現地を訪れる人たちに配ることにしています。
8月から開かれる今回のオリンピックでは、およそ1万人の日本人が現地を訪れるとみられていますが、開催地のリオデジャネイロでは、日本人を含め外国人を狙った強盗や窃盗が多発しています。
このため外務省では、防犯の注意点などをまとめた冊子を6000部作成し、旅行会社やチケット販売会社を通じて、7月から配ることにしています。
冊子では、開会式が行われるマラカナンスタジアムの周辺や観光地として知られるコパカバーナ海岸などで被害が相次いでいることや、犯罪の状況が具体的に紹介されています。そのうえで、夜間や1人での外出を控えることや、高級品を身に付けないことなど、防犯対策を十分に取るよう呼びかけています。
外務省海外邦人安全課の伯耆田修邦人援護官は「リオデジャネイロは最も犯罪が多い都市の一つといえる。渡航の際には事前に犯罪の発生状況などを確認して、十分に注意してもらいたい」と話していました。

日本人被害の強盗事件相次ぐ

ブラジルのリオデジャネイロでは、中心部のセントロ地区や観光客が集まるコパカバーナ海岸などで、日本人が被害者となる強盗事件が相次いでいます。
外務省によりますと、去年11月には中心部のセントロ地区で、日本人男性が4人組の男にナイフで脅され、スマートフォンを奪われました。
また、ことし2月には南部のイパネマ地区で、日本人男性が拳銃を持った3人組に襲われ、現金やパスポートが入ったかばんを奪い取られました。
リオデジャネイロの人口10万人当たりの犯罪の発生件数は、日本と比較して殺人が25倍、強盗が660倍となっていて、治安面の不安が大きくなっています。

五輪出場選手が狙われる事件も

ブラジルのリオデジャネイロでは、オリンピック・パラリンピックの選手が狙われる強盗事件も起きています。
5月20日にはスペインからオリンピックに出場するセーリングの選手とコーチが、拳銃を持った男に現金やカメラなどを奪われたほか、6月19日にもパラリンピックに出場するセーリングのオーストラリア代表の女子選手が、拳銃を持った2人組に襲われ、乗っていた自転車を奪われる被害に遭いました。
さらに、オリンピック開催中に救急患者の受け入れ先に指定されている市立病院が6月19日、銃や手投げ弾を持った犯罪組織とみられるグループに襲撃されました。
グループは入院していた麻薬密売に絡む男と逃走しましたが、その際に警察官との間で銃撃戦となり、入院患者の男性が巻き込まれて死亡しました。

外務省は専門チームを設置へ

リオデジャネイロで日本人が被害に遭う事件が相次いでいることから、外務省はオリンピックとパラリンピックの開催に合わせ、現地の日本総領事館に邦人保護の専門チームを設置して警戒を強めることにしています。
現地の日本総領事館に設置されるのは、警察官や医務官など10人前後からなる「邦人保護班」で、オリンピックとパラリンピックの期間中、犯罪被害に遭った日本人の支援に当たります。
このほか、東京オリンピックの組織委員会などが情報発信のために現地に設ける「ジャパンハウス」にも連絡室を設けたうえで、職員を派遣して日本人からの相談に対応することにしています。
さらに3年前にアルジェリアで起きた人質事件を教訓に編成された、海外緊急展開チームについても、大規模なテロなどで多くの日本人が巻き込まれた場合、現地に派遣されることになっています。